紙面上

つばめいろ

紙の上の関係

 昔は、結婚式を開くことで結婚の契りを交わす、周りに認めてもらうことだったのだろう。しかし今は、紙ペラ一枚書くだけで結婚の契りを交わせるし、周りに知らせることもできる。今となっては結婚式とは、ただのお飾りになっているかも知れない。




 私たちの関係も言ってしまえば、紙の上のものだ。別に結婚しているわけではない。小説とは、元々そういうものだろう。この世界が小説であることに、私は気づいていた。だから、私と君の関係は紙面上のものである。この紙が無くなってしまえば、この関係が本当かどうかなんて確かめられない。

 これは、婚姻届と同じだろう。無くなってしまえば、結婚してるかどうかなんて証明できない。紙面上の中で、婚姻届という紙面上に関係を証明するのは、なんだかおかしい気もする。この世界を記す紙が無くなってしまえば婚姻届なんて意味をなさなくなる。


 だから、君とそんな紙を書くつもりはない。この紙の書き手も、物語を進めてもそのようなことを、私と君にさせないで欲しい。

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紙面上 つばめいろ @shitizi-ensei

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