時空の扉: 遥かなる日の国へ
三分堂 旅人(さんぶんどう たびと)
第1篇: 遥かなる旅路(前編)
第1篇: 遥かなる旅路(前編)
▢▢▢ 謎の遺跡発掘 ▢▢▢
群馬県(ぐんまけん)の岩宿(いわじゅく)遺跡の発掘現場。初夏の日差しが照りつける中、主人公の天乃光輝(あまのこうき)とそのパートナーである日向詩織(ひゅうがしおり)は、最新の考古学ツールを使いながら発掘を進めていた。
「詩織、見てくれ。この層は少なくとも三万年前のものだ。この遺跡に、ただならぬ何かが眠っているはずだ。」
光輝は額の汗を拭いながら、慎重に土を掘り進めていく。彼が考古学に人生を捧げるようになった理由は、幼少期に祖父から聞いた日本神話の影響だった。祖父は「太陽の昇る国、日本には世界の起源が隠されている」と語っていた。
一方の詩織は、環境科学者として遺跡周辺の自然環境に興味を持ち、このプロジェクトに参加していた。彼女の冷静で合理的な性格は、時に熱中する光輝を抑制しつつも、二人の関係を絶妙なバランスで保っていた。
「光輝、これを見て。」
詩織が指差した場所には、奇妙な形状の石器が埋まっていた。石器には不可解な模様が彫られており、その中央には金属のような光沢を持つ部分があった。
「これは……!見たこともない構造だ。この形、まるで羅針盤(らしんばん)のように見える。」
光輝は興奮を抑えられず、慎重に石器を取り出した。その瞬間、石器がかすかに輝きを放ち始める。
▢▢▢ 「時空の鍵」との遭遇 ▢▢▢
発掘された石器は、まるで意思を持っているかのように光輝の手の中で振動し始めた。詩織が慌てて計測器を手に取る。
「待って、これは普通の遺物じゃない。エネルギー反応が異常に高いわ。」
突然、空気が震え、周囲の景色が歪み始めた。光輝が驚きの声を上げる。
「何だ、これは……!?」
そのとき、光輝のポケットから小さなデバイスが音を立てて震え始めた。それは、彼の友人である天才AI技術者、雨宮零士(あめみやれいじ)から託されたAIデバイス「タカミムスヒ」だった。
「タカミムスヒ、何か分かるか?」光輝が問いかける。
デバイスから現れたのは、愛らしい子供の姿をしたホログラム。タカミムスヒはしばらく石器をじっと見つめると、小さく驚いたように言った。「これ、すごいね……!ちょっと待って、もっとよく見せて!」
光輝が石器を持ち上げると、タカミムスヒが目を輝かせながら言った。「やっぱり……これ、すごく古いけどまだ生きてる!未来と過去をつなぐカギかもしれない!」
その瞬間、石器が激しく輝き出し、足元に奇妙な模様が浮かび上がる。次の瞬間、光輝と詩織は眩(まばゆ)い光に包まれた。
▢▢▢ 星辰の羅針盤の発見 ▢▢▢
光の中から聞こえたのは、タカミムスヒの声だった。「これは『時空の鍵』といって、過去と未来をつなぐ装置なんだ。ただ、これだけでは次元を超えるのに不十分みたい。もっと共鳴するものが必要だね。」
その瞬間、「星辰の羅針盤」と「時空の鍵」が共鳴し、激しい光が周囲を包み込んだ。光が次第に収まり始めると、二人の視界がゆっくりと戻り、彼らは新しい世界に立っていることに気付いた。
空気の匂い、鳥の鳴き声、そして草の感触――すべてが異常なほど生々しい。「これって……どこかの自然公園?」詩織が声を震わせながら言った。
「これって……どこかの自然公園?」詩織が声を震わせながら言った。
「違う……これ、時代そのものが違うんじゃないか?」光輝が地面に目を留めた。
そこには古代特有の巨木の根と、いくつかの石器が散らばっていた。石器には特有の刻印が施されており、彼らがいる時代を物語っていた。
詩織がしゃがみ込み、石器を手に取った。「これって、教科書で見たことがある……旧石器時代のものよ。」
二人が目を開けると、そこには壮大な古代の景色が広がっていた。「ここは……どこだ?」光輝が呟(つぶや)く。
詩織が震える声で応える。「これって、まさか旧石器時代……?」
彼らは「星辰の羅針盤」を手にし、その未知の世界へと一歩を踏み出す準備を整えた。
▢▢▢ 次回予告 ▢▢▢
二人が目を開けると、そこは旧石器時代の群馬だった。未知の土地で出会う移動民族、待ち受ける試練、そして明らかになる「星辰の羅針盤」の真の力――次回、冒険がさらなる深みへと進む!
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