帰ってきたノブフェチ

 僕がこの前、久しぶりにノブフェチと再会した話を書きます。

 その頃、空き巣が街に出没していました。なぜか——狙うのは【ドアノブ】。

 それもこれもみーんなドアノブドアノブドアノブ。

 しかも三日くらい待つと返ってくるのです、ドアノブが。

 一体どんな細工がされているのか。

 僕には心当たりがありました。


                  *


「細工なんかされてないんじゃねーの」

 

新聞の一面記事。見出しは「ドアノブ窃盗&空き巣被害増える」。斜体で「33」という文字が見えた。3万3千件、起きているらしい。彼はどんだけドアノブが好きなのだろう? まさか、手下もいるのか?


「その代わり、ドアノブが清潔な状態であるとは保証できないけど」


 不意に我が家のドアノブが気になった。最近ドアノブ清潔士という職業ができた。AIに成り代わられる確率ランキングTOP3が入れ替わり、ドアノブ清潔士はAIに取って代わられた。ここ2週間で、それだけのイベントが起きた。


——彼は、社会現象を起こしたらしい。


 警察沙汰にならないかな、もうなってるかもしれないな……

 僕は空を見上げ、ノブフェチの無事を祈った。

 その時インターホンが鳴った。

 いつかの書生だ。


 ノブフェチはドアノブをべろべろ舐めながら「匿ってくれ」といった。気持ちのいい舌触りなのか、彼は恍惚の表情を浮かべていた。

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ドアノブフェチとの旅は続く 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

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