第55房 大成功🎆
一方、大きなチョコバナナ看板が掲げられた店の中。
バナナを正確に無比な手捌きで剥き続けるゴリラと、均一にチョコをコーティングする鬼と化した臣がいた。
両者は言葉を交わさなくとも、バナナに対しての姿勢が一致していたことにより、阿吽の呼吸で動けていた。
ゴリラが器を差し出し、臣がコーティングを終えれば、再度、ゴリラが器を差し出す。
そして、仕上げに臣がミックスカラースプレーを優しく振りかける。といったように。
「ゴリラよ……やるな」
「ウホウホ!」
「ふっ、ワシのおかげか……性格もなかなかだな」
初めこそどこの馬の骨が、マリンを誑かしているんだと思っていた臣だったが、ゴリラのバナナ愛と純粋さにその評価を変えていた。
完全に認めることは出来なくとも、信頼に足りるゴリラだと。
「ウホ?」
何も知らないゴリラは、性格を褒められても首を傾げる。
「いや、こっちの話だ! それよりもだ。まだまだ客はいるぞ!」
「ウホウホ」
「ああ、だから。最後まで全力でいくぞ!」
「ウホ!」
ゴリラと臣のダイナミック且つ息の合った動きに、次第に歓声があがり、気がつけば出店の前には長蛇の列ができていた。
「ウホウホ!」
「おう、いい光景だな! 全員がチョコバナナに夢中だ」
「ウホウホー!」
俄然やる気を出すゴリラと臣。
この副次的効果で、他の出店にも人が集まり始め、どの店も行列ができていった。
☆☆☆
盆踊り大会のクライマックス。
炭坑節が流れる中。
休憩に入ったゴリラと、バナ友たちは、楽しそうに踊る観衆混じり、色とりどり提灯で飾られたタコの遊具の前で、盆踊りを楽しんでいた。
運営メンバーで先陣を切るのは、ぎこちない笑みを浮かべる臣とそれを笑わないように必死に堪らえる桃子の2人だ。
その後ろには、今になって全てが恥ずかしくなり顔を赤くしている犬猪コンビ続く。
そして、最後は前方にさんたろう。
左側に山川すもも、右側に亀浦マリンと両手に花状態+犬となっているゴリラだ。
だが、そこは人間に対して博愛主義ゴリラ。
やはり、その好意に気付くことはなく、2人が仲良くなったことをバナ友として純粋に喜んでいた。
とにかく、今言えることがあるとすれば、ここにいる皆が心から楽しんでいるということ。
ゴリラがこの瞬間を心から望んでいたということだ。
☆☆☆
こうして、その影で友情深めたり、愛を育んだり、お互いを認め合ったりしながらもゴリラとバナ友の活躍により、盆踊り大会はかつてないほどの大成功を納め。
炭坑節が聞こえなくなり暗くなった公園付近では微笑みながら、チョコバナナを頬張るゴリラと人間達の姿が見られましたとさ。
ウホウホ
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