21
二人は手をつないだまま、土手の上を歩いて家に帰った。
芽衣の家は真冬の家よりも学校に近い場所にあったので、二人はその道の途中で本当なら別れることになったのだけれど、真冬は「家の近くまで送っていくよ」と芽衣に言った。
すると芽衣は少し恥ずかしそうにしながら「……うん。じゃあ、お願い」と言って、真冬に家の近くにある公園のところまで送ってもらうことにした。
愛川公園という名前の公園だ。
「真冬の手って、すごくあったかいんだね」芽衣は言った。
「……昔と全然変わらない」
そんなことを言う芽衣はすごく嬉しそうだった。
真冬の握っている芽衣の手は、昔と同じですごく冷たかった。真冬はその冷たい芽衣の手を、できるだけ、長い間、できれば生涯、こうして温め続けることができたらいいな、とその芽衣の言葉を聞いて、思った。
愛川公園に着くと、芽衣が「少し散歩したい」と言うので、真冬は芽衣とその小さな公園の中を二人で散歩することにした。
夕方の公園には、あまり人がいなかった。
二人は緑の木々の間を歩き、休憩所のような場所を通り抜けて、やがて小さな池とその池の上にかかる橋の上までやってきた。
「ここね。恋人同士でくると、願いが叶うって言われている橋なんだよ。天橋って言う名前の橋なの」と芽衣は言った。
「有名な橋なの?」真冬は聞く。
真冬はそんな橋がこんな小さな公園の中にあるなんてまったく知らなかった。
「まあ、女子の間では結構」芽衣は言う。
二人は、その橋の上に移動する。
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