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学校の案内が終わると、二人は教室に戻った。
二人で人気のない学校の校舎の中を歩いているとき、芽衣はとても楽しそうに笑っていた。
二人が教室に戻ってからすぐに、担任の先生がやってきて、芽衣は先生と一緒に真冬を教室に残して、真冬に手を振りながら、職員室に移動した。
そして少ししてクラスメートたちがやってきた。
ホームルームの時間になると先生が早乙女芽衣を連れて教室にやってきて、芽衣のことをクラスのみんなに紹介した。
とても可愛らしい芽衣の姿を見て、クラスから「おぉー」とどよめきが上がった。
芽衣は「初めまして、早乙女芽衣と言います」とみんなに挨拶をして、芽衣の机は教室の一番前の席に決まって、そして、二人は離れ離れになった。
これが真冬と芽衣の出会いだった。
すごく元気で、明るくて、可愛くて、勉強も運動もできて、それでいてさらに転校生と言う特殊な条件を持った早乙女芽衣はすぐにクラスの人気者になった。
いつも一人で行動しているおとなしくて控えめな真冬とは、正反対の学校生活をすぐに芽衣は送るようになった。
そんな芽衣の姿を真冬はいつも遠くから眺めていた。
自分と芽衣のつながりは、あの転校初日の偶然の出会いの一日のみだと、真冬は勝手に思っていた。
でも、芽衣は真冬のことを忘れてはいなかった。
騒ぎが一段落したあとで、むしろ芽衣は「ねえ、真冬。これってどうやるの?」とか「真冬。音楽室ってどこにあるの?」とか、ことあるごとに真冬にちょっかいを出してきた。
芽衣の友達は、あまりいけているとは言えない真冬にちょっかいを出す、そんな芽衣の行動を「やめなよ。柊木くんに話しかけるの」とか言って、不審に思っていたようだけど、芽衣本人はそんなことは全然気にしていないようだった。
芽衣は明るい笑顔で、いつも「真冬」とか、「真冬おはよう」とか言って、話しかけてくれて、ほかのクラスメートのように、透明な空気のような真冬のことを透明な空気のように無視したりはしなかった。
真冬はそんな芽衣の行動に、最初は恥ずかしいからやめてくれ、と思っていたのだけど、芽衣の優しさや真冬を見る真っ直ぐな瞳に気がつくようになると、次第に芽衣の行動や勇気に感動して、それから自然と芽衣に心が惹かれていくようになった。
そんなある日の朝、真冬がいつものように少し早めに学校に登校すると、二人の出会った日の朝のように、誰もいないはずの教室の中に、早乙女芽衣が一人でいた。
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