澄んだ泡の道しるべ ~ 聲が聞こえたあの日はきっと ~

こむぎ

第1話 私と音と

私は生まれつき、耳が聞こえずらい。


耳が聞こえない訳じゃないから、


少し声を大きくしてくれれば人との会話は


可能だ。


だから補聴器などは買っていない。




小学生の時、


「おばあちゃんみたい」


って言われたことがある。


何度も聞き返したり『もっと大きい声で言って』と言ったからだろうか。


そんなことを言われた子供の頃の私は、


それを真に受けてしまった。


そして、


自分をダメな人間だと思い込んでしまった。




それから、私は高校生になった。


友達も出来たし、


耳のことを言われることも少なくなった。


そんなある日の朝のこと。


今日は久しぶりの三連休で、


ゲームやら読書やらを楽しんでいると


遠くで何かの音が聞こえた。


なんだか動物の鳴き声のような音。


だけど切なそうにも聞こえ、


不気味に聞こえる。


そんな音が聞こえた。

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