雪の音

かなちょろ

 雪の音

 町を行き交う人が手袋やマフラーをし始め、吐く息が白く色づく十二月。

 この季節、私は常に下を向く。

 周りにいる子も下を向く。

 毎日毎日下を向く。

 何故下を見てるのかって? それは下が気になるから。

 クリスマスまで後少し。

 私にとっては大事な日。

 町中が鮮やかに輝き、クリスマスソングが流れる中、私に見えるのは一つの輝きだけ。

 その輝きは小さいから見失わない様にちゃんと見ておかないといけない。

 

 そしてクリスマスに雪が降る。


 深々と降り注ぐ雪は世界を白く染め上げる。

 その時、私は雪と共に舞い降りる。

 周りの皆んなも嬉しそうに舞い降りる。

 静寂の中、私は大好きなあの人の後ろをキュッキュッと足音を立てて着いて行く。

 そのコート、そのマフラー、ずっと使ってるね。

 そしてあの人は小さいケーキを買って家に帰る。

 蝋燭に火を灯せば陽炎が映し出す姿は私との思い出。

 私はここにいるよ。

 そっと肩を抱きしめる。

 今日は夢の中でやっと会える。

 クリスマスの日に許されるただ一つの奇跡。

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雪の音 かなちょろ @kanatyoro

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