第35話 姫はどこへ
俺達漫画研究会こと勇者パーティさまざまな依頼を解決した
前世でこういう時はどうしたかというのを思い出し、それを参考にして活動する。
この世界でのやり方に合わせて動く。そんな活動がもう一カ月も続いていた。
徐々に前世の記憶も思い出していった。しかし最後の記憶が全く思い出せないことが気がかりだった。
「俺達が前世のことを思い出してから一カ月。この一カ月色んなことをやってたけどいまだに姫がどこにいるかわからないな」
地道に前世の繋がりを思い出す為に様々な依頼をこなし、いざという時の為の体力づくりも続けている。
「フィロ神様はこの町に危機が迫ってるって最初に言ってたっすけど、何が起きるかもわからないっすね」
「何か重大なことが起きるみたいなことをおっしゃってましたけど、この町には今のところ異常なんて起きてませんしね」
このまま活動を続けるにしても、そろそろ行き詰ってきた。
いつまでこんなことをしていればいいのか。
「フィロ神め、いい加減出て来いよな。本当に姫探しなんてしてんのかよ」
苛つきのあまり、俺はついぼそっとそんな言葉を口にしてしまった。
すると、ボンっという煙が噴き出した。
「おっほん、聞こえておったわ」
「フィロ神様!」
突然のフィロ神の出現に、俺はさっき口走ってしまってたことを聞かれたのだと焦った。
「す、すみません。愚痴を言うつもりじゃなかったんです」
「まあよいよい。わしもしばらくお前達の元へ来ることができなかったのじゃからな」
俺の謝罪をあっさりと許してもらえて、怒ってないことにほっとした。
「でもなんでいきなり現れたんです? ここのところ連絡すらくれませんでしたけど」
「うむ。急なことですまぬ。わしもようやく姫の手がかりを見つけたのじゃよ。それをお前達に伝えに来た」
「なんだって!?」
「なんっすかそれ!?
」「なんですの!?」
俺達は一斉に声を出した。
「姫ってどこにいたんですか!? 一体今はどこで何をしてるんですか?」
俺はついついフィロ神に詰め寄って質問攻めにしてしまった。
「うむ、それにはこのことの話さねばならぬ。あることがわかったのじゃ。魔王がもうすぐこの町に脅威を脅かすと」
「え!?」
それも急展開だ。フィローディアというここからは異世界であるはずのあそこの魔王がどうやってこちらに脅威を与えるというのか。
「その前に、お前達に大事な儀式をせねばならぬ」
「儀式?」
フィロ神は俺達のことを真剣な目で見つめた。
一体何が始まるというのか。
「勇者達よ。お前達に最後の記憶を呼び覚まそう」
「最後の記憶……?」
「お前達はフィローディアで過ごした最後の記憶が思い出せなかったじゃろう」
確かに俺達には冒険をした日々のことは思い出せても、その後の人生のことが思い出せなかった。
姫をどうやって助けたのか、魔王との決着はどうなったのか、そしてその後はどういう人生を歩んでいたのか。そういったことがなぜか一切思い出せなかったのだ。
「わしはお前達の記憶をわけあって封印していた。今、それを呼び覚ます時が来たのだ」
なぜもっと早くに思い出させることができなかったのだろうか、それにも理由があるのか。
「ではいくぞ」
フィロ神は俺達に手のひらを向け、そこからまぶしい光を発した。
俺達の視界いっぱいに金色の光が輝く。
そして脳内に映像が出てきた。まるで夢で初めてフィロ神に会った時のように。
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