第30話 いじめ、これにて成敗!


 そう、実は俺と森崎が対峙している間に、保坂君もそのタイミングに合わせてここに来るように伝えておいたのだ。


 学校は休んでもらうことになったが、森崎とのトラブルを片付けるのはここに本人もいなくては解決にならない。


「ほら、保坂君にこれまでのことを謝れよ。そしてもう二度と保坂君をいじめないと誓え。そして妹さんにももう手を出さないって」


「……」


 森崎はその場にあぐらをかいて座り込んだ。何もかも観念したのだろう。


 森崎は悔しさでいっぱいの表情だった。 


 強気だったプライドを傷つけられ、証拠を撮られ、なおかつこんな状況だ。


「……わかったよ。保坂、俺が悪かった。すまねえ。もうお前のことをいじめるの止める。そんでもうお前の妹……夏美には近づかねえ」


 森崎はガシガシと頭を掻きながら言った。


「確かに俺がこんな精神だったから夏美に嫌われたんだろうな。振られて当然だ。弱いやつをいじめるなんてやっちゃいけねえ。夏美に振られて腹が立ってお前のことをいじめてたが……こんなことやったってなんも解決にはならなかったんだな」


 森崎はようやく自分の行いを反省した。彼女に振られたのは自分がこういうやつだったと認め、そして保坂君にやってたことはただの腹いせで弱い者いじめだったということに気づいた。


「隠し撮りとかも一切やめる。俺がこんなことをしてたら本当に学校に居場所までなくしちまう。振られてやけになっちまったところがあったが、だからといって悪いことをしていいことにはならねえ。俺のやってたことは確かに犯罪に近かったな」


 森崎は素直に自分の罪を認めた。完全に自分の負けで、もう逃げ場がないのだから。


「うん。僕も森崎君に絡まれて怖かった。でも、もうやめてくれるんだよね」


「ああ。もう二度としねえ。夏美には嫌われて当然だった。こんな精神だったら新しい彼女だってできないしな。俺がまず自分の性格を変えなきゃいつまでも前に進めねえ」


 森崎は素直になった。保坂君に謝罪し、もう悪事はしないと。


「わかったよ。僕もそれなら安心だ。怖かったけど、謝ってくれたからいいよ」

 俺達は二人の様子を見守っていた。


「これで解決、かな」

 俺達は今回も無事解決できたのだった。





 後日、山崎君が部室に来てお礼を言った。

「ありがとうございます。おかげで保坂君、あれからは元気になりました」


 森崎はその後、十分に反省したらしく、もう保坂君に絡まなくなったとのことだ。


 隠し撮りもやめて授業に真面目に出席し、乱暴な態度もやめたとのことだった。


 そして改心したので森崎は今度は飲食店でのアルバイトを始めたとのことだ。隠し撮りをやめたことと、働いて社会勉強をするとのことでそうなったらしい。


「保坂君、あれからまた一緒に放課後は遊びに行けるようになったんです。もう呼び出されないし、今は学校が楽しいんですって」


 山崎君の友人を助けたいという依頼は無事に達成させた。


「いやいや。俺達はただこの部活の役目をやってただけですから。また何か悩みとかあったらいつでも来てください」


「本当にありがとうございました」


 山崎君は俺達に深々とお礼をした。


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