第9話 勇者活動開始


 そしてメンバーも揃ったので俺達は作戦会議をする。


「じゃあ俺達がやるべきことは、やっぱりフィロ神の言う通りに人助けをするしかなさそうだな。あの神は能力を覚醒させるには前世に近いことをしろと言った。となるとやっぱり勇者の時みたくこの世界でできることをするしかないな。そのついでに姫を探そう」


 あの神の言うことを信じるならばこうするしかない。


「神が姫を探している間、俺達が何もしないわけにはいかない。。特に神は俺達が前世に近いことをすると思い出しやすいと言っていた。魔王をどうするかの手がかりも見つかるかもしれない」


「うーん、やっぱりそれしかないっすか」


「でも、そうするしかないですわね。ただフィロ神様が探している間に私達も何もしないというわけにもいきませんですもの」


「僕も賛成ですね」


「ただフィロ神様になんでも任せっきりもよくないからな。俺達が情報収集をする為にも、姫の手がかりにもできることというと前世に近づくしかないな」


「わかったっす」「わかりましたわ」「わかりました」とみんな賛同した。


 パーティの意見が一致したところで俺達はこれから何をすべきかを決めた。


「まずは俺達が人助けの依頼を募集する。ゲームで言えば依頼クエストってやつかな。困ってる人が俺達に助けを求めて、俺達が解決。そうすれば記憶がより覚醒するかもしれない」

「では私も茶道部とこちらも兼任させていただきますわ。勇者の仲間として私も参加せねばなりません」

「といっても本当に俺達にそんなことできるっすかねー」

 もちろん俺達にはできることに限りがある。本当に警察沙汰にするレベルな依頼なんて来たら解決できるかはわからない。そして俺達は政治家といった権力があるわけでもない。


 ただの高校生なのだからできることに限りがある。医療や政治など大きなものはできない。


 しかし、かといって何もしないわけにはいかない。

 どんな行いが前世に近い行動になるのかはわからないけれど、この世界でも近いことはできるのではないだろうか。


「これでよしっと」


 俺達は部室にあったパソコンでSNSのアカウントを作った。


 この町の情報収集の為に俺達はSNSにアカウントを作ることにした。


「この学校の悩みを解決します。ご依頼こちらまで」


 アカウントにはそう説明して、メールフォームのアドレスを貼る。

 さらにチラシを作った。「この学校の悩みを解決します。ご依頼こちらまで」と表記してそのSNSのアカウントのIDとアドレスを貼っておく。


それをプリントアウトしてコピーして大量に作る。

これを委員会に言って掲示板に貼らせて貰えばいい。


 その後、俺達はその件を委員会に申し出てチラシを掲示板に貼ってもらえるようにと許可を求めた。

 表向きは漫画研究会のネタ集めにという無理矢理な理由だったが、なんとか通った。


 色んな生徒からの信頼が強い成績優秀の岸野さんのおかげでそれを通してもらった。ボランティアのようなことをするのだからということで、「岸野さんの言うことなら信頼できる」と通してもらえたのだ。


 学校の廊下にある掲示板にそのチラシを貼って、あとはこれで依頼が来るのを待てばいい


「本当に来るっすかね、依頼」


「自分から困った人を探しにいくのは難しいだろ。ならこれが一番いい方法だ」


「でも、無理難題押し付けられたらどうするんすか」


「勇者だったら無理難題なイベントでも解決してきただろう。それならば、その時のことを思い出してできる限りのことはするんだ。それに、こんな平和な町でこんな平凡な学校での人助けくらいならまあ大丈夫だろ」


 これは結局のところやってみないとわからないが、何もしないよりはマシである。


 こうして俺達勇者パーティの活動が始まった。


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