釣り人
グレド・タカシ
職業釣り人 レベル1
スキル
「ショップ」
「」
魔法適正
氷
「これがワシのステータスか・・・・・・どないしよう。」
まず、釣り人は釣りに対して補正が掛かり、それに類似したスキルが取得可能になる。
スキル・・・その者の才能、経験、天職によって取得可能になる能力であり、人によってスキルの取得可能数は違っている。
魔力適正・・・その者が使える魔法の属性であり、これ以外の属性は使えるが威力が大幅に下がっていたり、魔力消費量が大幅に上がったりする。
タカシが困っている理由はショップにあった。
ショップを使ってみると今の所持マネーは5,000。
基礎魔力運用書は10,000マネー。
今後の食糧を買うとなると5,000マネーはすぐに消える事になる。
しかも、水1リットル500マネーと割高に見えた。
逆に釣り餌や釣竿など明らかな割安となっていたり、調味料や料理道具も比較的割安になっている事から、自分の天職や経験からショップの商品も安くなると予想できた。
タカシの前世の趣味は料理なのだ。
水やカロリーバーが割高なのは自分の趣味レベルでは割安にならないくらいの物だという事だと予想できた。
取り敢えず、こんなイカダで火は起こせないというより、火を起こす道具を買っていたら生きていけるだけの水と食料が買えないため、先送りにした。
その為、水とカロリーバーを買って飢えと乾きを満たした。
「ふぅ、味は普通だ。カロリーバーはチョコ味で美味い。喉は渇くが腹持ちも良さそうだし、暫くはこれで凌ぐしかない・・・・・・なるほど、割高な理由はこれか・・・」
タカシが水とカロリーバーで簡易的な食事を済ましていると、イカダが少し波で揺れて、この水とカロリーバーの入っているダンボール箱に海水が掛かった。
しかし、波で跳ねた海水がダンボールに当たっても、完璧に弾いていたのだ。
つまり、このダンボール箱は完全防水性だった。
「これは急いで稼がないといけないが、全然釣れんのう・・・」
メモやステータス確認、食事などして長年で培った体内時計を信じるなら1時間は経っている筈だったが、ランダム釣竿の釣り糸はピクリともしなかった。
一定時間と書いてあったが、その一定時間が何時間なのかを実際試す以外で知る方法は今のタカシになかった。
「・・・・・・悲観していても仕方がない。先にスキルを取得するか・・・」
タカシが取れるスキルの数はあと一つ。
スキルの数は職業レベルが上がる事でたまに増えたり、特殊なアイテムによって増やす事が出来た。
そのアイテムをショップで購入出来る事も確認済みだ。一軒家が何軒も買える値段というバカ高価な商品である。
「・・・自衛出来るものは・・・・・・デメリットが凄いな。」
釣り人という職業とタカシの前世から戦闘系、それも自衛が出来そうなものがあるとは思っていなかったが、それにしても酷いものしかなかった。
例えば、バーサーカーというスキルは一定時間肉体を強化してくれる代わりに思考低下、破壊衝動などこのイカダで使える訳がないものである。
「この状況で唯一使えそうなのはこれか・・・温存しておく事も出来るが、ショップ以外のスキル使用でも少しはマネーが手に入るからな。取らない手はないな。」
今は1マネーでも欲しい状況であり、イカダのアップグレードや設備追加もショップで可能である為、スキルは早く使える状況にしておきたかった。
「水中呼吸・・・寝相の悪いワシならこんな柵も何もないイカダから確実に落ちる自信がある。死因が寝相の悪さから生じた溺死など天界で神に笑われるわ。」
水中呼吸・・・液体を呼吸可能な空気に変えて水中での呼吸を可能にするスキルである。
「・・・・・・スキルを取っても水を飲むのは問題ないが、息を吸う感じで飲んだら空気に変わる・・・と、咽せることは無くなるが貴重な水を間違って消費しないようにしないとな。」
呼吸するという行動で発動するスキルらしく、水を飲んでも発動しないが、明らかに飲んだ量と胃や喉を通る水の量が減っているため、無意識の呼吸がスキルを発動させているようだ。
より意識的な無意識でのスキルのオンオフを覚える必要性があった。
「お!初のヒット!」
約2時間、ようやく釣竿に動きがあった。
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