20.悪い奴らに評判の悪い政治家

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==



 山並郁夫とは、俺のこと。

 俺は、『殺しの請負人』、いや『殺し屋』になる筈だった。

 長い間、あちこちに『傭兵』で参加していた俺は、あるコミックを読んで『殺し屋』になることにした。

 ところが、人生、思ったようにはいかない。


 だが、「闇サイトハンター」になって、俺は変わった。

「影の正義の味方」になるのだ。

 大文字伝子様の為に。


 闇サイトは、ある程度時間開いて、閉じる。まるでモグラのように。

 それに、「年中暇な」若者が引っかかる。まるで「疑似餌」に魚が飛びつくように。

 超一流ハッカーの俺は、その「開いて閉じる」サイトの様子を記録するシステムを開発した。年中24時間見張っている訳にはいかないからだ。


 俺は、肝を冷やした。

 闇サイトで『汝の隣人を殺めたまえ。』ってのがまた出た時から、嫌な予感がした。

 今度は、誰がターゲットだ?

 あ。政治家か。調べてみたが、そんなに「極悪人」て感じじゃない。寧ろ最近、何をとち狂ったか国会で正論を言い出した。

 この人、大丈夫かな?消されないか?と思っていた政治家だった。

 あまりにも具体的に「殺人計画」を書いているので、俺は放っておけなくなった。

 午後11時。政治家の自宅。

 政治家は自動車から降りて、秘書は帰って行った。

 まるで、近所の人のような出で立ちの男達が、「〇〇先生ですよね。」と言いながら取り囲み、農機具を「武器」として取り出した。鍬や鎌である。

 俺は、時限装置付きのラジオを何台か用意していた。

 突然の音に、襲いかかった直後の男達は、逃走した。

 俺は、政治家先生が暴漢に襲われた、とだけ、使い捨てケータイで110番に伝えた。

 政治家先生も気がかりだが、俺はすぐにラジオを回収し、バイクの荷台の押し込み、その場を去った。

 閑静な住宅街だ。

 暴漢と俺しか「地の利」を知らなかった。

 政治家先生は、一撃だけだったから、命は助かったようだ。


 今の日本は、戦争のある国より、ある意味危ない国だ。


 大文字伝子先生。

 褒めてくれなくていい。俺は間違っていないよな。

 アイスキャンデーを舐めながら、独りごちた。

 ―完―


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