冷たさ
故ノ星 幸熄
嵐よりも酷いもの
冷たい風より、嵐の方が何倍もましだ。冬の冷たい風に頬を撫でられながら、僕はそう思った、普通ならきっと、嵐の方がマシだと思う、きっとあなたもそうだろう。
なんで僕はそんなふうに思うのか?冷たい風は、とにかく流れがわかりやすい、人を見つければ我先にと体にまとわりついてくるのがよくわかる。普通の人なら、閉じ込められたように感じて、苦しさを感じるだろう。でも僕は思うのだその風たちは閉じ込めてきているのではなく、こちらの体に「合わせて」くれている安心感が感じられるのではないか?と。そんな感じがする冷たい風に、僕は救われることがあったのだ、その時に乾いた涙の跡は、もう消えてしまっているが、未だ僕の心の中に深く跡が記憶として残っている。この「合わせて」くれているという感覚の安心感を、この、冷たい風に見出せずとも、その安心感を、あなたはもうすでに、知っているということもあるのではないだろうか?このままでは、風はただの救いのような存在だと言っていると思うだろう、しかし、ここからが、嵐の方がマシな理由につながるのだ。しかも、良いところあるが故の理由だと、のちにわかるだろう。
冷たい風は、包み込んでくれる安心感を与える存在という仮面をかぶって近づいて包まれる安心感に浸っているすきに、ギュッと冷たく締め上げてくる存在でもあるのだ、こちら側が何もしていないのに、だ。包み込んで締め上げる、そう、まるで、蛇の狩のように。
しかし、それは仕方のないことだと僕は思う。なぜなら、風は自然現象であり、石などないのだから。
もう少しわかりやすくいうならば、そうだな、実はこの「風」は、あなたの近くに、季節問わずにあるのだ、それはそう、極一部の人である。包み込んで優しくしておきながら、じわじわと追い詰める、風よりもタチの悪い人間が、この世にごまんといる。そう思うと、突然冬の冷たい風が、恐ろしくて、恐ろしくて、仕方なくなるだろう?それが僕の感じている「冷たい風の怖さ」なのだ。それよりは、ただただ怒っているだけで、強く構えていれば大丈夫な、まさに、「嵐」のような人の方が良いと、あなたもそう思うはずだ。
だから僕は、嵐の方が、冷たい風よりもマシだと僕は思うのだ。
冷たさ 故ノ星 幸熄 @yukiya0929
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