とある神様の始まり
仲仁へび(旧:離久)
第1話
終わる世界が一つあった。
その世界は、本当に最後の最後の終末で、今にも消えてしまいそうな世界だった。
「ごめん、ここまでだ」
「俺達を支えてくれた人たちに申し訳ないな」
「私達、負けちゃったんだね」
「もう、明日なんてない」
立ち上がった者達はいた。
彼等は抗った。
しかし、その努力はみのらない。
その結果、世界が消え去った後、たった一人だけ残された少女がいた。
暗闇で過ごす少女がいる。
その少女には、何もない。
自分が誰かも思い出せない。
ただ、少女には過去を見つめる能力があった。
だから、退屈はしなかったし、学習し、成長する事ができた。
少女は、過去を見続ける。
それは、世界終末を巡る物語。
たくさんの人たちが、努力し、世界が滅びないように頑張る物語だ。
しかし、結局は世界は滅びてしまった。
強大な力をもつ敵に、主人公達は果敢に戦ったが負けてしまう。
少女は結末に悲しんだ。
もう、何もかも手遅れだからだ。
自分にできる事などない。
ならば自分はどうしてここに存在しているのだろうか。
意味なんてないだろう。
けれど、少女は意味を作る事にした。
自分が神になり、彼らを覚えている「神」が新しい世界を紡ごうと。
そうする事が彼等の努力を無駄にしないことになるはずだと。
そう祈りを込めて。
少女は世界を作り出す。
命を作り、星を作り、自然を作る。
そこには、少女が過去に見た少年少女たちもいた。
本物ではない。
ただ模倣しただけの生命だった。
しかし少女は、彼らには幸せに生きてほしいと、祈って見守り続けた。
とある神様の始まり 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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