短い物語

由南りさ

 僕の片思い

今日も君に会えるかな

僕はいつもの時間にいつもの場所で君を待つ。


僕が君をはじめて見たのは

そう僕がこの町に来て間もない頃。


慌てて改札を抜けようとした君は荷物が挟まり大変だったね。


雨の日、傘を忘れた君は僕の前を急いで通り過ぎた。

雪の日、君は僕の頭に傘をかざしてくれた。


僕が見てること……気づいて

僕が君を好きなこと……気づいて


毎日僕の前を通り過ぎていく君……  



僕は……ただ君を見ているだけ

いつも僕は……立ち尽くすだけ


笑顔の君が好き

可愛い君が好き


僕の前をいろんな女性が通り過ぎていったけど

僕の前に立ち止まってくれた女性はいたけれど


やっぱり君じゃなきゃだめなんだ。


身動きがとれない……

ただ、立っているだけの僕。


笑顔で僕に近づく君。

「お地蔵さん……私の願いが叶いますように」


今日も君はいつもの時間に僕の前を通りすぎる。


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