第2話 似た者同士
「よし! その意気だ。いつもの調子が戻ったみたいだな」
「いつものって……会うのは5年ぶりなのに、久々な感じがしないわね」
「まぁいいだろ。リサはどんな時も超然としていたからな。それを思い出しただけだ」
「もう、そんな風には振る舞えないけどね」
寂しげに呟くリサの表情を見て、胸が痛くなった。こいつなりに苦労してきたのだろう。
思えば、完全記憶能力を持つリサは、幼い頃から神童扱いされていて大変そうだった。研究者から目をつけられ、色んなテストを受けさせられていたし、同年代の子供からはハブられていた。
そんな中、3つ歳上の俺だけが、リサと対等に話せた。
政府公式サイトの脆弱性の話も、アーベル環の性質の話も、唯識三十頌の解釈の話も、俺でなければついていけなかっただろう。
高すぎる知能を扱う苦労というのも、中学二年の時点で俺は知っていた。だから、色々と処世術を教えてやった。周りのレベルに合わせる方法や、知能指数の垣根を越える共通の話題、等々だ。
それ以降、リサは友達も増え、本当に楽しそうにしていたが、遂に俺に対しても演技するようになっていった。
リサは俺の知能さえも軽々と抜き去ったわけだ。
それから程なくしてリサは海外の名門大学に招聘され、日本を去った。それからどうしていたのかは知らないが、この状況を鑑みるに、聞かない方が良さそうだな。
「なんか、随分たくましくなったわね」
「これでもミリタリースクールに通ってたんでな。去年からフランス外人部隊にいた。クビになったけどな」
「へぇ、私もプロジェクトを外されて大学を追放されたの。やっぱり私ら、似た者同士ね」
「確かに。道は違えど同類なのかもなっ!」
俺は雑談しながらも敵の膝を撃ち抜く。さすがにオヴェスタの精鋭は強いな。急所を撃ったつもりだったんだが。
「作戦通り、ドローンを1ヵ所に集めたわ。デコイにするつもり?」
「そうだ。もうそれしか打てる手がないんでな」
「分かった。ドローンが私たちを護衛してるように見せかけるわ」
そう言うや否や、リサはもうスピードでスマホをタップし始めた。
キーボードではないが、なんだか天才ハッカーっぽいな。
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