天使

とてつもないあい

天使

ずっと死にたかった。合わない視線。目的のための可愛いね。ナイフみたいな冗談。上げる口角。マスカラ守るためにつねった左手の甲。手の甲なんか痛くなかった。ずっと死にたい。ずっと、ずっと、今も、ずっと、ずっと、死にたい。あの子を見つめる視線はわたしが受ける視線とは違くて、もう、全く、別で、はるかに、やさしくて、死にたかった。あの子は切りすぎた前髪さえをも虜にしていて、なんだかなあ。もう、バカらしくなって、毎朝10分の早起きが、バカらしくなって、死にたかった。思考すらをも劣っていて、死にたかった。死にたい。死にたい。死にたい。死にたい。死ねなかった。どうせ、死に方さえをもあの子以下だとおもうと死ねなかった。死んでやるもんかとおもった。死んでたまるかとおもった。生きるための言い訳にあの子を使っているだけだった。あんたが死にたがっている夜は誰かが生きたかった夜なんだようと言われた。知っていた。知った上で死にたかった。でも無差別テロで死ぬのはいやだった。どこまでも、どこまでも、あの子以下で、追いつけなくて、追い越せなくて、隣に並べなくて、死にたかった。首吊って死んだらブサイクだからやめた。溺れて死んだらデブだからやめた。あの子の死に顔想像してオナニーした。イケなかった。綺麗だった。想像でキスをした。きもちかった。死にたかった。

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