いきなりの出来事

 次の日、オレは宣言通りただの友達に恋バナを相談してみたんですよ。

 

 

 軽い気持ちでね。

 

 

 そしたら、複雑だなーって遠い目をされたお友達。

 

 あらら…?

 

 なぜそんなにオレの恋バナに真剣に向き合ってくださるんでしょうかね⁇

 

 

 まさか…実はライバルなんじゃね⁉︎

 

 複雑とは?

 

 オレの好きな人と被った⁉︎

 

 

 …

 

「おい、複雑っていうのは…まさかオレも実は好きなんだってオチかよ⁉︎」

 って、ライバル確認いたしましたよ。

 

 

 そしたらまさかのさ、

「まぁ、ガチで妹を好きになったって初めて言われたから、正直びっくりしたよ」

 って、びっくり発言いただきましたっ‼︎

 

 そうなのです。

 

 

 オレが恋の相談をしたのは、実の兄である洸太なのでございました。

 

 

 クヨクヨ考えると…あ、よくよく考えると、ただの一般市民では、ございませんでしたね。

 

 

 好きな人の家族ですものね。

 

 

 しかし‼︎

 

 ありがたいじゃないかっ‼︎

 

 一番の身内に相談にのっていただけるって、めっちゃいいと思いません?

 

 

 だって、好きな食べ物とか趣味とか聞けまくりなんだもんね。

 

 

 

 …

 

 

 オレはとあることに気づいてしまった。

 

 

「妹ちゃんって、そもそも名前なんなん?」

 大事なところを聞いておりませんでしたね。

 

 

 

 

「くるみだけど」

 

「くるみちゃんかぁ。かわいい名前だわ〜、今すぐにでも抱きしめて食べちゃいたいくらい♡」

 ってうっとりしていたら、

 

「それは…早くない?」

 

 って、ガチで妹を心配する優しき兄貴、洸太なのでありますね。

 

 

「なあ、洸太にもだれか紹介しようか?彼女たち」

 

 

「え、たちって…どんだけ女友達おおいんだよ」

 

 と、複雑なお顔の洸太。

 

 

「うちには、母ちゃんもばあちゃんだっているからな。」

 

 …

 

「真奈夜…年上すぎるって。」

「そっか…じゃあー…うーん…」

 

「真奈夜…無理矢理探さなくても大丈夫だから。真奈夜いいやつだし、オレも出来る限り協力するよ。変な妹だけど、よろしくな」

 

 と、兄からのよろしく宣言されてしまいました!

 

 

「おにいさま‼︎くるみさんは、生涯幸せにいたします‼︎」

 

 と、勝手に結婚の挨拶風に言っておいた。

 

 そもそも交際すらしていないのに。

 

「あーまあ、ちょいちょい遊びおいでよ」

 

 と、出入り可能許可いただきましたぁ。

 

 

「マジかぁー。ならもうずっと泊まり込みでもいいかな?ホームステイ先がすぐに決まってマイハッピーです。テンキュー」

 と握手をお兄様に求めてみましたよ。

 

「ホームステイは……ないよね。それより授業始まるから席つこうぜ」

 って、軽く追い払われました⁉︎

 

 え…ホームステイ拒否られました。

 

 ならば庭にテントを…って、別にオレは住むところがないわけではございません。

 

 

 そもそも、そんな張り込みまがいなことしてもどうしようもないんよね…。

 

 

 てことで、お友達特権を最大限に利用していきたいと思っている所存でございますの。

 

 

 次は、いつ伺おうかなぁ?なんてワクワクして勉強も手につきませんね。

 

 

 まぁ、それは元からなんですけどねー。

 

 

 そんな勉強に手がつかないオレに洸太は、土曜日オレの家でゲームしようよって誘ってくださったんよ。

 

 それは速攻で握手を求めたさ。

 

 てなわけで、土曜日までウキウキで勉強に手がつきませんでした。

 

 

 いつもだけど…

 

 

 で‼︎

 

 土曜日〜

 

 ワクワクのウキウキふわふわでるんるんしながらピンポンしたよ。

 

 

 妹ちゃんが、はーいってきたら嬉しいなぁって思っておりましたが洸太でした。

 

 入っていいよーって。

 

 

 …

 

 申し訳ないが、少々テンション下がりましたがな。

 

 うん、それは失礼ですね。

 

 だからそっと心で謝りましたとも。

 

 

 そしてオレたちは、楽しくゲームを堪能させていただいたんだけど…

 

 ちょいとお手洗いへ失礼いたしました。

 

 

 そんでさ、部屋に入ろうとドアノブに手をかけたその途端‼︎

 

 

 オレは頭が真っ白になりましたね。

 

 でさ、そのあと心の中で

 

 あぁ、トイレ後でよかった〜って幸せを全力で噛み締めましたとも。

 

 びっくりしてお漏らししてたかもだぜ…

 

 なにがあったんですか?って?

 

 くるみちゃんがいきなりオレに抱きついてきたんですわ。

 

 バックハグです!

 

「おにーいちゃん♡プリン一個だけ余ってるやつ食べていい♡?」

 

 ってね。

 

 

 オレとお兄ちゃんを勘違いしたみたいなんだよね。

 

 

 かわいいじゃん‼︎

 

 いいよいいよ♡

 プリンならオレがいくらでもご馳走するよ〜♡

 

 ってなりましたとも。

 

 

 でもね、くるみちゃんはオレを抱きしめてから、腹まわりチェックをはじめたんよ。

 

 

 抱きしめながらね。

 

 

 あれ?

 

 なんかいつもと違う?ってなったんでしょう。

 

 

 まぁくすぐったくて、オレは思わず笑っちゃいましたね。

 

 

 そしたら、くるみちゃんは咄嗟にオレから離れて、

 

「えっ⁉︎お兄ちゃんじゃない‼︎だれー⁉︎」

 ってオレを見上げました。

 

 

 だからオレは、

「プリン食べちゃいな♡」

 

 ってにっこりいたしました。

 

 

 くるみちゃんは、真っ赤な顔で一瞬戸惑っていたけど、すぐにかわいい笑顔で

「そうします♡」

 って喜んで下に降りていった。

 

 

 くるみちゃんはプリンが好きなんだと、オレはインプットした。

 

 

 そして、あのいきなりのハグの感覚がずっと残ってて、幸せ気分でしたとも。

 

 

 

 続く。

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