第6話「炎の大地と燃える誓い」

灼熱の地への旅立ち


「次の配達先は『炎の大地アグニス』!届け物は、こちらの『永久氷晶』です!」


ギルドで依頼を受け取った翔太は、渡された荷物を見て首をかしげる。

「氷の塊を炎の大地に届けるって、嫌な予感しかしないんだけど……これ、途中で溶けるとかないよな?」


ミーリスはにっこり笑って答える。

「永久氷晶は普通の氷じゃありません!魔法で強化されているので、普通の熱では溶けませんよ。ただし――」


「ただし?」翔太が顔をしかめる。

「強い衝撃には弱いので、注意してください!」


翔太はため息をつきながら、またカートを押し始めた。


炎の大地アグニス


アグニスに到着した翔太とミーリス。目の前には、赤く燃え上がる溶岩の川や、空を覆う黒い煙が広がっていた。空気は熱気に満ち、ただ歩くだけでも汗が噴き出してくる。


「これ……本当に人が住める場所なのか?」


ミーリスが指差した先には、溶岩の上に浮かぶように建てられた小さな村が見えた。村人たちは炎のような赤い髪を持ち、耐熱の装備に身を包んでいる。


村の長老らしき老人が翔太たちを出迎えた。

「よく来てくれた。永久氷晶を届けに来た配達員か?」


翔太はカートを指しながら答える。

「そうだけど、この氷が何に使われるんだ?」


長老は深刻な表情で語り始めた。

「この地の火山が暴走を始めた。火山神の怒りを鎮めるため、永久氷晶を神殿に捧げなければならないのだ。」


火山神殿への道


翔太とミーリスは村の案内人とともに火山神殿を目指すことになった。だが道中、灼熱の地形や突然噴き出す溶岩、熱波などが行く手を阻む。


ミーリスが防護魔法を張りながら進むが、その魔力にも限界があった。

「翔太さん! 魔力が切れる前に神殿にたどり着かないと!」


「わかってるよ!」翔太は汗だくになりながらもカートを押し続けた。


そこへ、突如巨大な炎の精霊が現れる。精霊は低い声で言い放つ。

「これ以上先へ進むことは許さぬ。その氷晶は、この地を傷つける者たちの手に渡るべきではない。」


炎の精霊との対峙


翔太は精霊の言葉に戸惑いながらも、毅然と答える。

「俺の仕事は届けることだ。それが正しいかどうかを決めるのは、俺じゃない!」


炎の精霊は翼を広げ、翔太たちを襲い始めた。ミーリスが防御魔法で応戦するが、精霊の圧倒的な力の前に防御が破られそうになる。


その時、翔太は自分の中である決意を固める。

「このカートだけは、絶対に守る!」


翔太は精霊に突っ込むようにカートを押しながら前進する。その姿に、精霊は一瞬動きを止めた。


「届けるべきものを守るという信念……その覚悟、見事だ。」


精霊は姿を消し、道を開いた。


神殿での儀式


翔太たちはついに火山神殿に到着した。そこでは、村の巫女が待っていた。彼女は永久氷晶を祭壇に置き、儀式を始めた。


氷晶が溶けることなく輝き始めると、火山の暴走が徐々に収まり、地面の揺れも止まった。


巫女が翔太に微笑みながら礼を言う。

「あなたが届けてくれたおかげで、私たちの村は救われました。本当にありがとうございます。」


翔太は汗をぬぐいながら答える。

「俺はただ、頼まれたものを届けただけさ。」


新たな依頼へ


ギルドに戻ると、また次の依頼が舞い込んできた。

「次は『海底都市アクアリス』への配達です!ちょっと水中になりますけど、頑張ってくださいね!」


翔太はうんざりしながらも笑って言った。

「水の中でも届けるさ。これが俺の仕事だからな。」


彼の新たな冒険が再び始まる――。

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