第4話「天空の城と届けるべき願い」

空への旅立ち


「次の配達先は、天空の城アルセリウムです!」


ギルドで新たな依頼を受けた翔太は、目を疑った。

「天空の城って……空飛んでるのか? どうやって行くんだよ。」


ミーリスは自信満々に答える。

「大丈夫です! この『飛翔石』を使えば空を飛べますよ!」


飛翔石は、小さな青い結晶だ。それを握ると、体がふわりと浮かぶ仕組みらしい。

「マジかよ……」翔太は半信半疑のまま、飛翔石を手に取り、ギルドの指定する浮遊船に乗り込んだ。


天空の城アルセリウム


浮遊船で数時間。空に浮かぶ巨大な城、アルセリウムが姿を現す。その光景に、翔太は思わず声を上げる。

「うわ……これが異世界ってやつか。」


城は雲の中にそびえ立ち、白い大理石の建物がキラキラと光を反射している。周囲には鳥人族が翼を広げて飛び回り、城全体がまるで一つの生き物のように息づいていた。


翔太とミーリスは城の入り口で出迎えを受けた。現れたのは、鳥人族の青年・セイラン。白い翼を持つ彼は、翔太たちを温かく迎える。

「ようこそ、アルセリウムへ。あなたたちが配達員ですね?」


翔太はカートに載せられた荷物を指し示す。

「これを届けに来たんだけど……届け先がどこだか聞いてないんだよな。」


セイランは少し表情を曇らせる。

「それは……私たちの王に届けていただきたいのです。ただ、少し問題がありまして……」


王の試練


セイランの案内で城の玉座の間に向かう翔太とミーリス。そこには、黄金の翼を持つ鳥人族の王・ゼフィロスが座していた。


「配達員よ。よくここまで来た。しかし、この荷物をただ渡すわけにはいかない。」


翔太は思わず眉をひそめる。

「いやいや、届けるのが俺の仕事なんだけど……何か問題でも?」


ゼフィロスは真剣な表情で答える。

「この荷物は“願いの羽”と呼ばれる聖遺物だ。それを手にした者は一つだけ願いを叶えられる。しかし、正しい心を持たない者が触れると、災厄を招く恐れがある。」


翔太は深くため息をついた。

「つまり、試されるってことか。配達ってこんなに面倒だったか?」


試練の迷路


翔太はゼフィロスから「試練の迷路」と呼ばれる空中に広がる特殊なフィールドに送り込まれた。迷路には様々な仕掛けや試練が待ち受けている。


第一の試練は「風の道」。強風が吹き荒れる中、飛翔石を使って進む必要がある。翔太は風に流されながらも、ミーリスの魔法の助けを借りてなんとか突破する。


第二の試練は「真実の門」。目の前に二つの扉が現れ、一つは進むべき正しい道、もう一つは迷路の最初に戻される罠だという。翔太は自分の直感を信じ、正しい扉を選ぶことに成功する。


「やっぱり、日頃の経験が役に立つんだな。」翔太は少し得意げに呟く。


願いの羽の力


試練を全て乗り越えた翔太は、迷路の最奥で「願いの羽」を手にした。それは純白の輝きを放つ、美しい羽だった。


ゼフィロスが現れ、翔太に問いかける。

「その羽は、君の願いを叶えることもできる。しかし、本当にこの荷物を無事に届けることができるのか?」


翔太はしばらく考えた後、羽をゼフィロスに差し出した。

「俺の仕事は配達だ。この羽を欲しがってるのはあんたの国なんだろ?」


ゼフィロスは微笑み、羽を受け取る。

「見事だ、配達員よ。君の決断に感謝する。」


新たな道へ


配達を終えた翔太は、アルセリウムの住人たちから感謝の言葉を受ける。セイランは彼に言った。

「君のおかげで、私たちの国は救われました。またいつでもこの城を訪れてください。」


ギルドへの帰路、翔太は空を見上げて呟いた。

「どんな配達でも、ちゃんと届ける。それが俺の仕事なんだよな。」


ミーリスは微笑みながら言う。

「その心がある限り、どんな依頼も成功しますよ。」


次の依頼は「忘れられた森」。さらに厄介そうな冒険が翔太を待ち受けている――。

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