夫婦

 ノアは急激な勢いでその勢力を拡大させ、どんどんと自分の部下を増やして行っていた。数は多くない。だが、質は多きな問題だった。確実に、ノアの周りにはあまりにも強すぎる戦力が増えていた。

 そんな中で、レーヴは何処までもは不満げだった。


「ずいぶんと、レーブ女王陛下の部下であるノアが勢力を伸ばしているようだな。上に立つ者として、龍が部下を増やしているのは不満か?」


 そのレーヴへと話しかけるのはリュース王国の国王、ノース国王であった。

 ノース国王の言葉はレーヴの不機嫌の理由は、自分の部下であるノアが勢力を増していることに対してのものであるという考えでの言葉だった。


「別にそれは関係ないですよ」


 だが、それを一瞬でレーヴは切り捨てる。


「そもそもとして、ノアは私の配下じゃないですよ」


「……何?」


「私は殺されそうになっていた幼年期のノアを助け、それを受けて彼は私を慕ってくれるようになった。関係の始まりはそこで、それからは互いに助け合ってきました。私たちの立場は対等です。どちらが上かは関係ないです。別に私は自分の元からノアが旅立ち、新しい国を建てたとしても不満には思わないですよ」


「……お、おぉ?今、看過できぬような情報が出てきた気がするぞ?」


 なんでもないことのように語るレーヴのことは非常に重い。


「そんなことより……そんなことより許せないのはあの子の動きぶりです。何故、あの子は女しか部下にしないのですか?」


 ただ、レーヴにとって重要なのはその他。

 自分とノアの関係性である。


「……ノアちゃんは、私の夫であるという自覚があるのでしょうか?他の女ばかりに手を出して」


「えっ……?レーヴ女王陛下とノアは夫婦の関係だったのか……?」


「そうですよ?」


 驚きに満ちたノース国王陛下の言葉に対し、何を今更とばかりに頷く。


「私とノアは夫婦として愛を誓い合った中ですから(そのような事実はない)」


「そ、そんな話は聞いたことなどないが……二人で愛を誓いあったのだな?」


「えぇ、私とノアちゃんは満月の夜の下、互いの将来を誓いあっています(そのような事実はない)」


「とはいえ、二人には種族しての差もあるであろう?」


「そんなの関係ありません。ノアちゃんは種族の差なんて気にしてないですよ(そのような事実はない)」


「そ、そうだったのか……」


 わ、割と種族の差というのを気にしている素振りはあったけどな……?数は少ないながらも、ノアと会話をしたことはあるノース国王は内心で首をかしげながらも、レーヴの圧に負けてそうだったか、と勝手に納得する。


「そうであるのなら、もう少しいえばいいのではないか?私だけを見ろ、と」


「そんなことしませんよ?私は良い女なのです。決して、重い女ではありません。彼を束縛したりはしません」


「そ、そうか……」


 鏡見てこい、どう考えても重い女の面だろ───そんな言葉をぐっと飲みこみ、ノース国王はただレーヴの言葉へと頷くに留める。


「(……これ、こっちの女王が爆発する方が問題じゃないか?)」


 そして、あの龍のことも思い浮かべた上で、ノース国王は色々と自分の想定を修正していった。


「しかし、まだ若いな。レーヴ女王陛下は。若さゆえの不安により、本心を隠したくなることもわかる。だが、本心を隠したままで共に人生を歩めはしない。喧嘩する可能性を知り、それを受け入れ、ようやく夫婦として永久を過ごせるのだ。レーヴ女王陛下も───」


「……」


 ついでに、年上あるあるとしての勝手なお説教まで始めていった。

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