第5話 あの場所にいた理由

 ボクは涙が止まらないほど泣いていた…。泣いても咳き込んで出るよう音しか出ない…。


「そんな事があったなんて…無理に聞いてごめんね」


 感情移入しちゃったのかな…キャリナ、ボクこそごめんなさい。


剥鱗はくりん病って今でも流行ってんのか?」


 シェインはノッペさんに質問を投げかける。


「最近では聞かないですね。」

「そっか」


 ボクも情報を調べていくうちに剥鱗はくりん病の話は全然聞かない。でも、これがもし…


「イェルにとっては病気ではなく呪いの力では無いかと考えているようなのです」


 言いたいことを先に言われた。


「だから近くに眠るアンヴォーの洞窟に行こうとしたんでしょうね」

「アンヴォーの洞窟?」


 キャリナはそんなとこあったけっと地図を広げた。ノッペさんはペン先で場所を記した。


「ここのことじゃ、何でも竜人族じゃないと開けないが知りたいことを教えてくれる隠れた遺跡じゃ」

「ここ、ブラッドウルフの生息地に近いな…」


 シェインは地図を見つめて考え出す。


「とりあえずアンヴォーの洞窟に連れて行けば無茶はしなくなるんだよな?」

「むむっ!?」


 シェインの言葉にノッペさんは顔を顰める。


「ブラッドウルフだけじゃないですぞ!他にもモンスターが…」

「わかってるって!俺たちが護衛についてやるから大丈夫だって」


 シェインはやる気のようだ。ボクのために連れて行ってくれる…こういう人に会うのは本当に久しく感じた。


「イェル…お前さんは…」


 ボクはシェインの自信をキャリナの覚悟から信じていいと思えた。だからここで土下座して頭を擦り切るほど下げる。


「ん、あー!わかった!わしが許可する!だが、向かう前にイェル用の装備の準備も頼むからな!」


 ようやく許された!今までは秘密で入ろうとしてはバレての繰り返しだった!ありがとう!シェイン、キャリナ!


「じゃあ、早速防具店に行きましょうか」


 と急にキャリナに抱き抱えられる。ボクは訳あって他の竜人族と違って身体が小さいのだ。




これからアンヴォーの洞窟で剥鱗はくりん病の情報を聞き出してみせる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る