糸目で関西弁の人生詰んだフリーターお兄さん。待遇の良さに釣られ秘密結社の一員になる

中田の刀な鷹

第1話 人生詰んだフリーター

 人生って理不尽の連続やと僕は思うねん。


 僕の力やとどうしようもない災難が次から次へと迫ってきよる。


 小3の時に両親が死んで、高校の時に冤罪かけられて色んなもん失って。


 親戚からの援助も大分前に打ち切られたしさっきバイトもクビになった。


 ……あれ、詰んだ?僕。



ずぞぞぞ


 これが最後になるであろう飲み物を飲みながらこれからどうしようかと1人考える。


 財布の中は3円しか入っとらんし通帳も確認したらすっからかんやった。5円もないとかまじ?僕にご縁なんてねぇよってこと?


 やっぱ詰んだかなぁ僕。ギリギリまでどうにかなるって思ってたんが駄目やったんやろなぁ。まさか日雇いのバイト全落ちするとは思わんかったわ。冤罪の影響デカすぎひん?


 ほんまどうしようかなこれから。死ぬなら色んな人に迷惑かけてやりたいなとは高校の時からずっと思っとるけども。


 電車にでも飛び込んでみようかね。今日は日曜やし明日なったら飛び込んでみよかな。

めちゃくちゃ迷惑かかるやろ。


 そんな事を考えながら近くにあった時計を見ると4時を指していたので飲み物を捨て近くの公園へと足を進める。



 歩くこと数分、到着した公園のベンチで寝転がる。マナーも悪いし迷惑もかけまくるがどうか許して欲しい。家ないんよ僕。


 周りの人は僕のことなんて見慣れとるから何も言ってこうへん。何となく察されてるんかなー僕がホームレスやってこと。シンプルに近付きたくないだけかもしらんけど。


 いやーほんまになんでこうなってしまったんやろね。品行方正に生きてたつもりやってんけど……冤罪とかはどうにもならんわ。


 どんだけ無実訴えても聞き入れて貰えへんかったしやっぱ警察ってクソやね。証拠は揃っとる言われたけど触ったこともないねんその証拠品たち。


 指紋が検出されとるって……そんな訳ないやろ。なんで僕があそこ放火せなあかんねん。


 警察官共の顔からしてあれ点数欲しさに犯人でっち上げただけちゃうか?憶測の域を出んけどこんなん。


 あーいやいや……あかんな。1人で考え事しとると恨み言とかばっか出てきてやっぱいややわ。


 こんな時は公園で遊んどる子供でも見て癒されなあかんな。


「きゃはははは!」

「待っ、待ってよー!」

「見てまーくん綺麗でしょ?」

「凄いよちーちゃん完璧じゃん!」


 公園全体を使って鬼ごっこしとる子らや砂場で泥団子を作って見せあっとる2人の子供が目に入ってくる。


 ええね、特に泥団子作っとる2人が素晴らしいわ。あれが幼馴染みって奴なんやろな……図書館にあった本で見たことあるわ。


 みんな笑顔でええなぁ……向こうの方に親御さんらもおって、毎日が楽しくて楽しくて仕方ないんやろなぁ……。


 そんな幸せそうな子供たちの姿を見ているとなんだか少しだけ嫌な気持ちになって、僕は子供たちに背を向けて眠りについた。



 ふと、目を覚ます。辺りは真っ暗でまだまだ夜は続きそうだ。なにか音がしたはずだと音の発信源を探してみると少し向こうでイカつい男の人に絡まれている女の人がいた。


 普段ならめんどくさくて見て見ぬふりを決め込むが今日は間に割って入ってやろうと思い立った。


 何故なら僕は明日死ぬ身。ほぼ無敵の人状態な僕を阻むものなんて何も無いんや。



「いいじゃねぇかよちょっとくらい。悪いようにはしねぇぜ?」

「いえ本当に大丈夫なので……着いてこないでくれませんか?」

「まぁまぁそんな連れねぇこと言わねぇでよォ……なぁ、ちょっとくらいならいいじゃねぇか」


 男に手を掴まれヒッと女が声を漏らす。


 そんな2人の間に割り込むように1人の人物が声を上げた。


「ちょいちょいちょいこんな夜中にどうしたんですかお二人さん。痴話喧嘩ならよそでやってくれません?」

「っ!違います!この男が強引に私を!」


 やってきた男の言葉に女が声を張り上げる。


「ほぉ!痴話喧嘩じゃないと!ならそこの人はもしやあのナンパ師さんですか!?」

「あァ?違ぇよ俺は……」

「はい!さっきからずっと言い寄られてて……助けてくれませんか!」

「助け求められたら断る訳にはいかへんな……ってことでそこのナンパ師さんここは一旦引いてくれるか?」


 ナンパ男と女性の間に割って入った男がそう口にする。


「あァ!?なんで俺がてめぇの言うことなんざ聞かねぇといけねぇんだよ!」

「あんたも殺人犯にはなりたくないやろ?僕と喧嘩したらあんた今日から殺人犯やで?」

「……いやクソ雑魚じゃねぇか!なんだその脅し!……もういいやる気なくなったわ」


 そう言って萎えたナンパ男は踵を返し去っていく。



 いやぁほんま上手くいって良かったわ。喧嘩なんてした事ないから分からんけどあの風貌からして絶対ボコボコにされたやろうし。


 痛みには慣れとるけど進んで受けたいとは思えへんしなぁ。暴力なんて起こらんのが一番やわ。


 そんなことを考えているとナンパされとった女の人が僕にお礼の言葉を述べる。


「本当に助かりました。ありがとうございます」

「いやいや大丈夫ですよ。僕が勝手にやったことですから」

「いえ、理由はどうあれ助かりました。今は持ち合わせがないのですが後日お礼のものを……」


 見た目に違わず真面目な人やなこの人。バッチリスーツ着こなして身長も高いからThe・キャリアウーマン的な感じやね。


「ええですよお礼なんて」

「いえそう言わずに……助けてもらったからには何か恩で返さねば落ち着かない性分でして」

「厄介な性分持ってはるなぁ……いやほんまにお礼の品なんて要らんしなぁ。どうしよ」


 明日死ぬ予定やし何貰ってもなぁ……。せやええこと思いついたわ。


「まぁなら他に困ってる人とか見つけた時は助けてやってください。僕はそれで満足なんで」

「そんなので良いんですか?」

「いやいやそんなのじゃあらへんよ?人助けるのって簡単なことやないし。まぁそう言うことで」


 そう言い女の人に背を向けて歩いていく。後ろから声が聞こえるが正直これ以上言うこともないので足は止めない。


 この女の人が過去の僕のような人たちを1人でも多く助けるのを望むばかりやな。



 朝が来た。


────────────────────

主人公の名前も秘密結社のひの字も出んまま1話終わってもた。なんでなん?


読みにくい所や表現が違う所があれば教えてください。


モチベに繋がるので感想や♡や星沢山ください。星100目指してます。

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