みえちゃった
@suzu_myu
第1話 はじまり
「見えない」のと「見ない」は全くの別物である。
「見えない」は全くもって見えていないのであって、いるはずのものが視界にうつっていないということなわけで。「見ない」は、見えているものをあえて視界にいれていないのだ。
始まりは中学一年生の12月頃だった。部活終わりで、すっかり暗くなっていた。ヒールの音を立てて後ろを通り過ぎる女性や、男性が革靴で歩く音を背に私と友人は信号待ちをしていた。
信号が赤から青に変わり、私たちは歩き始めた。
私たちの横を、白いワンピースを着て、白いつばの広い帽子をかぶり、白いヒールを履いたいかにもモデルのような格好をした女の人が颯爽と歩いていった。私が
「モデルさんみたいな人だね」
と言えば、友人は不思議そうな顔をした。
「誰もいなかったよね?」
不思議に思い、その女性がいた方をもう一度見ればもう居なくなっていた。
当時の私は、あれだけ近くを歩いていたのに何故見ていないのか不思議で仕方なかった。
だが、今思えば白いヒールが立てるはずの足音は聞こえなかった。
何よりも、12月で寒いはずなのにノースリーブのワンピースを着ていたのは、どうしてなのか。
この時はまだ、おかしいなんて思っていなかった。
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