④
こんな風にして1週間が過ぎ、午後の3時頃には家事を終える事ができる様になった私はエプロンを付けたままで玄関に一番近い部屋のソファーに腰掛けた。
エプロンのポケットからスマホを出し、雄二が何時頃帰って来るのか確かめようとしたらベルが鳴り、そのまま鍵が開けられてセカセカと雄二が入って来た。
「早いのね!?……」
「今日は、ここに泊まって奥様の代わりに旦那様に給仕をしろ!ケータリングは手配済みだから給仕と後片付けだけでいい」
「でも!私、旦那様にご挨拶すらしていないのに……」
「挨拶の必要なんてないわ!」
刺す様な女性の声が聞こえて雄二は最敬礼した。
入って来た女性の顔に私は驚きを隠せなかった。
「なるほどね、ここまで似ていると“お人形遊び”の
ドレスルームで、スマホを持った雄二の前で私は素っ裸にされ、奥様にランジェリーから当てがわれた。
「まったく鏡を見ているみたいで笑っちゃうわ!」
最後にメイクを施され、鏡の前に立った私と奥様は私自身が見間違うほど“奥様”になってた。
「西崎! しっかり録ったわね!」
「はい!奥様!」
「明日からあなた達だけで完璧に仕上げなさい!服はどれを使ってもいいわ!ジュエリーはボックスの中! 結婚指輪のレプリカもこの女のサイズに合わせて作ってあるから。 まったくもうこんな時間!出るわよ!」
奥様は雄二の居る前で平気で“お召替えし、彼を引き連れてさっさと出て行った。
後に取り残された私は半ば呆然としながらも「奥様の愛人の一人は雄二で……私は“この目的”の為に囲われたのだ」と確信した。
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