エッセイ シンプルライフ キッチン
阿賀沢 周子
第1話
毎年10月中頃から、普段できない場所を中掃除と称してきれいにすることにしている。換気扇と換気扇の周り、冷蔵庫の冷凍室や野菜室。シンクキャビネットや、食器やなべの収納棚などなど。北海道の冬は寒いので、年末の大掃除は体に悪いからだ。
そんなさなか、いつも使っているセスキを切らしてホームセンターへ買いに行った。セスキとはセスキ炭酸ソーダ、セスキ炭酸ナトリウムなどと呼ばれる鉱石を精製した天然素材のアルカリ性クリーナーで、水に溶かしてキッチンなどの清掃に使う白い粉だ。
店舗では、洗剤の種類の多さにいつも驚く。キッチン一つとっても場所や汚れによって使うものが違うようだ。つまり汚れ具合にこだわれば、使うものが増えていくことになる。
たくさんの棚を探したが、セスキが見当たらないので近くの店員に聞いた。新人さんなのか、何のことかわからないようでうろうろしている。私は時間がかかるのが嫌!という顔つきをしていたのだろう。最後には別な店員に引き継がれた。
その人はベテランだ、すぐ「こちらです」と有名メーカーのコーナーに案内してくれた。あるにはあったが量の割に値段が高い。経験上もう少し安いのがあるのは知っている。
店員に礼を言ってから、あきらめずにあたりを探す。粉類のコーナーの隅っこに別メーカーのものを発見。二倍の量でほぼ同じ値段だった。
家のキッチンまわりの掃除は、セスキと、粉石鹸(50g)をお湯(500㎖)に溶かして作ったプリン状石鹸だけで済ませている。お湯の温度や粉石鹸の素材の違いなどでプリプリ加減は変わるが油に強く汚れがよく落ちる。グリルもレンジフードも冷蔵庫もその二種類しか使わない。
食器洗い機洗剤は奨励されている市販の物を買っているが、最近、重曹とセスキで代用している人がいると知って、ただいま実験中。市販の洗剤の説明の中に、別の物を使うと詰まる可能性があると書いてあるので、慎重になっている。
たったの2種類で、どこもかしこもくすまずピカピカになる。匂いは全くない。手肌が荒れない。空き容器が出ないのでゴミが少ない。科学物質を流さないので環境にやさしい。
この物価高や環境汚染、気象変動に少しでも対応できるのはシンプルライフと信じてこころがけているが、キッチン一つとっても調べたり試したりの課題はまだまだたくさんある。
エッセイ シンプルライフ キッチン 阿賀沢 周子 @asoh
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
インセクトホテル/阿賀沢 周子
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます