第2話 いつもと違う世界

 まわりの風景は不思議なものを見ている感覚だった。いつも見かける街灯の周りには雨粒がハッキリと見えていたり、横に通り過ぎる大人や部活帰りの学生たちは傘を差しているせいか余計大きく見える。傘を差して歩くときは大体僕と同じぐらいの年の子ばかりだったからだ。通学路である道は家から漏れている光や信号機、街灯などでポツポツと光っていて、初めて来た道かなと思ってしまうほど新鮮だった。傘を地面に置いて空を見上げると、何もないところから雨粒が落ちてきていると錯覚していた。僕は暗闇の別世界に冒険している気持ちになり、なんだか楽しかった。


 僕は公園に着いた。だいぶ歩いたかなと思ったが、学校の近くなのでそんなに遠くは感じなかった。周りの風景に見とれすぎて余計歩いたのだと錯覚していた。人気が全くなく、遊具が雨に濡れていた。雨の日の学校の帰宅時はただ濡れているだけだったが、夜は街灯の灯りによって反射し、遊具が光っているように見えてカッコいいと思った。他にも車や自転車、ベンチ、柵などが同じように光っていて、あれらはもしかして伝説の道具なのかと思うような輝きに魅了されていた。でも、見た目だけなので見慣れると数分で飽きてきた。僕は公園で休憩しようかなと考えたが、ズボンがびしょ濡れになると思い、その場を離れた。


 僕が通っている学校の校門前に来た。いつもの学校と違って不気味な雰囲気を漂うように見えた。学校内はもちろん真っ暗だった…と思った瞬間、二階の廊下に何かが光った。僕はそれを見て身震いした。学校に妖怪が出てくるアニメを見たことがあるせいか、本当にいたのかと思ってしまったからだ。僕はそんなのに負けないぞと勇気を出して叫んだ。


「お化けなんか怖くないぞー!」


 すると、光がこっちを向いた。僕は反射で傘を使って防御したが、よく見ると学校の警備員が懐中電灯を持っていた。妖怪がいなかったことは良かったのだが、こんなことで怖がっていたのかと恥ずかしがって僕は学校の校門から走り去った。

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