プロポーズ

とてつもないあい

プロポーズ

「ねえ、ねむたいの?あのさ、だいすき。伸びすぎていつもより強めにカールかけた前髪も、きっと明日は眉毛が見えてることも、愛おしく感じるよ。お腹が空いていると無口になるところとか、寝起きは僕のことをちょっとだけ鬱陶しく感じているところとか、2分刻みのアラームも、少し汚れた靴も、かすれたアイラインも、すきですきでたまらない。君が嫌いな君の全部、僕は知ってるし僕の秘密で、大切なんだよ。君が好きな君のかわいいところ、僕はもっと知ってるけど僕だけ知っていたいなって思うんだ、ごめんね。君は完璧じゃなくて、君は不安定で、君は誰もが振り返る美少女でもなくて、君は誰もが憧れるような身体でもなくて、君は少し捻くれていて、それでいて純粋で、優しくて、でも世界を信じていなくて、強くて、脆くて、いつも笑顔で、人一倍泣き虫で、暖かい声をしていて、微かに震えていて、ちょっぴり怒りっぽくて、気分屋で、そんな君を、僕は、僕は、離したくないんだ。だいすきだよ。だけど、だけどね、きっと、いや、絶対に僕以外は好きになってくれないと思うな。僕がトキメく君の全部、きっと世界は嫌うんだ。君の可愛いダメなとこ、きっと世界は貶すんだ。愛おしい君のその顔も、身体も、服も、メイクも、全部全部特別なんかじゃないし、愛くるしい君のその性格も、過去も、言葉も、気持ちも、意思も、全部全部めんどくさいね。君は僕の特別だけど、それは僕に限ったことで、僕だけで、僕以外は害で、ねえだから、僕がいなくなった君を抱きしめてくれる人がいるなんて思わないで。だいすき。だいすき、だいすき。ちゃんと全部認めてあげる。ちゃんと全部わかってあげるし知らないふりしてあげる。つまりさ、僕とずっと一緒にいて欲しいって、それだけなんだけどね。だいすき、僕の夢をみてね。僕だけをみてね。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

プロポーズ とてつもないあい @nzxzxz

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画