1000人のエロゲヒロインが存在する世界でNTR癖イケメン竿役に転生したエロゲマスターの物語

田中又雄

第1話 竿役転生

「…これは一体どういう状況だ?」


 某巨人漫画のキャラの台詞みたいなのを吐き、鏡に映る見覚えのある金髪イケメンが少し引き攣った笑みを浮かべていた。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093090578082211


 そう、それはどうやら俺の姿のようだった。


 記憶喪失で自分の顔を忘れたとかではない。

 自分の容姿は嫌というほど見てきたが、鏡をどううまく使ってもイケメンに見えることなんてない、醜悪なビジュをしていた。


 何より、俺にはこの顔に見覚えがある。


 エロゲ世界を変えたと言われるほどの名作であり、俺が初めてやったエロゲである【叡智な女は乱れない】の竿役の千条せんじょう 右京うきょうに間違いない。


 この竿役はまあー悪どいことで、最初はヒロインと主人公をくっつけるムーブをし、くっついたところで横取りというか寝取りをするグズ男だった。

 それがまぁ、彼の癖らしく本当に色んなルートで散々邪魔されたものだ…


「…何が一体、どうなってるんだってばよ」


 そう呟きながら、一旦自分の記憶を遡る。


 いつも通りに引きこもりニートとしての朝のルーティンをこなし、深夜までエロゲの攻略…

積み重なった山のようなエロゲの数々…

 エロゲ界隈で俺は【エロゲーマスター様】通称【エロマス】として崇められていた。


 そのヒロインの特徴から過去作品と見比べ、持ち前の記憶力から最短ルートの攻略はもちろんのこと、逆に全てのBADエンドを回収してから正規ルートを回収する、BAD回収業者プレイなどをするほど俺はエロゲーに詳しかった。


 そして昨日、大台である1000本目のエロゲーを攻略し、そのことをブログで報告したところで精魂尽き果てて、眠りについた。


 んで、目を開けたらかなりお金持ちっぽい部屋に居て、とりあえず部屋から出てトイレらしきところに辿り着き、鏡を見ながら苦笑いをしていたのだ。


 一向に理解はできない。

しかし、これは最近流行りの寝落ち転生というものではないかと推察する。


 すると、洗面所の扉が開き、この男の母親である千条せんじょう 美香みかが相変わらず淫らな体つきをしながらキャミソール一枚の姿で現れる。


 エロすぎる…


 竿役の母親の名前までなぜ知っているかって?

 それはこの母親すら攻略対象だったからである。


 まぁ、その話は後にするとして…


「あらぁ?どうしたの〜、右京〜。あんまりのんびりしてると〜入学式に遅れちゃうわよ〜」と、相変わらずのゆったり口調でそう言った。


 入学式…ということはどうやら今日は入学式らしい。

つまり、4月1日ということか。


「う、うん。すぐ準備するわ」


 そうして、適当にシャワーを浴びてから、急いで部屋に戻り、制服を見たところでまたしても違和感が現れる。


 あのゲームって、こんな制服だったか?

いや、絶対に違う。

色も違ければデザインも違う。

これは一体…?


 しかし、よく見ると時計は8:05を指していた。


 学校までの距離は分からないが、どう考えても余裕ぶってる時間ではない。


 ブレザーの胸についているエンブレムから高校名を検索し、携帯の位置情報から学校の距離を調べると…

 徒歩1分と表示され、部屋の窓から外を覗くとそこにはなんとも大きくて新めの学校が聳え立っていた。


 そこで確信する。

 これは少なくてもあのゲームの世界ではないと。


 つまり、エロゲーの竿役に転生したが、転生した世界はまた別ということか。


 そう思いながらも、ひとまず制服に腕を通して、ゆっくりと家を出るのだった。


 ◇1分後


 家を出てからすぐに到着し、校門を抜けたその先の掲示板に人だかりを発見する。


 どうやら、そこに自分の名前が書かれているようだ。


 そうして、俺もその人だかりに混ざり、名前を確認していると、あることに気づく。


 それと同時に後ろから声が聞こえてきた。


「それでねー、その人が本当に面白くてさー」

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093090579842064


「いやいや、それ全然笑えないって。超やばいやつじゃん」

【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093090579874470


 見覚えのある名前の数々、そして聞き馴染みのあるその声。


 思わず振り返ると、そこにはやはり水野みずの 白乃しろの網野あみの みやびが立っていた。


 それはそれぞれ別作品のヒロインのはずだった。


 しかし、見渡せば女子が全員、見覚えのある女の子たちだらけであることを気づく。


 そして、掲示板に書かれていたのも全部知ってるヒロイン達の名前だった。


 そこでようやく気づいた。


 つまり、この世界は俺のやった1000本のエロゲヒロイン達が入り混じったカオスな世界であることを。


 ということは、彼女たちの全てを知っている俺にかかれば、大ハーレムも夢ではないということだ。


 こうして、元引きこもりニートによる逆襲青春物語が始まるのであった。

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