第13話 ダンジョンを出た
彼女は、美緒さんって言うらしい。それに、僕と同じダンジョン配信者で、僕の数万倍ほどの登録者数を誇る凄い人だった。
そんな、凄い人が僕の事を見てくれてるとは驚きだ。
「美緒さんは、どうしてこのダンジョンに?」
「ここのダンジョンは普通のダンジョンより階層が深く魔石のドロップ率が高いと探索者の中では評判な場所なんです。私もお金を稼ぎに来てました」
「へえ〜そんな、評判のあるダンジョンだったのか〜」
「柴犬さんは?」
「僕は、家が近かったからだよ〜」
ただ、徒歩で行ける距離にあるダンジョンでっと思っていたが、まさか評判のあるダンジョンだとは思わなかった。
だけど、ドロップ率が高いダンジョンなのに一度もドロップしなかった僕って運が悪いのかな?
「ねえねえ、ここのダンジョンはドロップ率が高いのに僕はゴブリン5体倒したけどドロップしなかったし....スライムも....僕って魔石ドロップの運が悪いのかな?」
ちょっと、運が悪いのかと思うとしょんぼりした。
「そ、そんな事ないですよ。ゴブリンは、5体に1個程度しか魔石をドロップしません。あと、もう一体倒してたらドロップしていたかも知れませんよ。そ、それに、階層を降りるにつれ魔石のドロップ率が低くなるので、魔石がドロップしないのは別に運が悪い事では無いと思います」
「なんだ〜そうだったのか〜」
運が悪くは無いと分かるとホッとした。運が悪いから、魔物を倒しても魔石がドロップしないとか思ってた。
最近ダンジョンに入り始めた僕は、知らない事ばかり。色んな事を知っている美緒さんは、凄いな〜っと感心した。
「あの柴犬さん。ずっと気になってたんですが、首に付けてる加工した魔石どこで買いました?ちょうど、同じのが欲しいと思いネットで探しても見つからないんですけど....」
「それは、僕が作った手作りなんだ〜」
ちょっと、自慢げに答えた。
「え、凄すぎます。魔石の加工とか相当難しいって聞きますよ。柴犬さん凄いです。だから、ネットとかで探しても見つからないわけですね」
「えへへ〜美緒さんは、加工した魔石とか身につけないの?」
僕は、不思議そうに質問した。
「はい....お気に入りだったマルバル魔石加工町工場って所で加工してた魔石がお気に入りだったんですけど、急に品質が落ちてしまって....新たに、お気に入りの加工した魔石を探してるんですけど....これが中々見つからず。柴犬さんの付けている加工した魔石をっと思ったんですが、手作りだったので....」
マルバル魔石加工町工場って、僕は最近まで働いていた所だ。やっぱり、機械で量産すると品質が落ちるのだろうか。
まあ、今の僕には関係ないのでどうでもいいけど。
「ねえ、僕の首についてる卵形の加工した魔石がついたネックレス、外してくれない?」
「は、はい」
急にどうしたのだろうと困惑しながらも、美緒さんはしゃがみ僕の首にかけているネックレスを外してくれた。
「外しました」
「ありがと〜じゃあ、そのネックレスあげる」
「え、いいんですか?犬さんのが無くなっちゃいますよ?」
「僕は、自分で作れるから大丈夫。それに、ダンジョンについて色々と教えてくれたお礼だよ」
「う、嬉しいです!!ありがとうございます!!」
思ったよりも、美緒さんが喜んでくれた。美緒さんは、早速首にネックレスをつけてくれた。
美緒さんと話しているうちに、気づけばダンジョンから出ていた。
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