第8話 猫踏んじゃった

 ダンジョンの地面から魔石を掘り当てる僕は、2時間で1〜2個程度手に入る。


 地面から取り出す魔石は、何故か高く売れるので一個で2〜10万円で買い取ってくれる。


 だから、毎日ではないけど日給にしたら前の会社よりも倍以上も稼げている。


 今のところは、就職せず探索者として魔石を掘ろうと思っている。動画配信についてだが....何故か僕が本物の犬だと思われている。


 ライブ動画のコメント欄を、家に帰った後に見返してコメントが書かれていないか見ているんだけど、何となくライブ動画を見てコメントを残してくれる人がいるんだけど、僕のことを『絶対合成だろ』・『後付けで声入れてるだろ』と書かれていた。


 僕みたいに、完全に変化してしまう人は居ない。だから、信じてもらえないとは思っていた僕は喋ったり二本足で歩いてみたりとアピールはしていたけど、これだけでは信じてもらえないようだ。


 だけど、1人だけ僕のことをダンジョン適応症で犬になっている事を信じてくれているようでダンジョン適応症じゃ無いというコメントに反論して『ダンジョン適応症って書いてあるでしょ』とか『こんな性格に口に合わせて後付けで声を入れれるわけ無い』・『この可愛さが分からないとかアホじゃないの?』と多少過激なコメントではあるけど僕のことを信じてコメントで反論してくれている人がいる。


 反論して信じてくれている人の為、ダンジョン適応症で犬に変身している事を証明する事にした。


 僕はダンジョンで犬に変身して人間ぽい事を動画にする事にした。


 早速、道具を準備して家の近くにあるボスが居ないダンジョンに向かった。


「どうも〜犬です。今回は、僕がダンジョン適応症で犬になっていないと疑っている人がいるので、ここで証明していこうと思います」


 僕は、前足と口を使い家から持ってきた物をリュックから取り出した。


「まずは、この紙に犬と書いてみます」


 前足では、鉛筆を持てない。だから、前足では紙を押さえ鉛筆を口に咥え紙に『犬』という漢字を書いた。



 口で文字を書いた事がないので、ガタガタした感じではあるが犬と読めなくはない。


 書いた紙を咥えカメラに向けて、僕が書いた字を見せた。


『え、すご』

『柴犬さん天才』

『サインください!!』


 少し、信じてもらえたようだ。次に、僕はピアノで猫踏んじゃったを弾こうと思う。


 実は、僕は小さい頃にピアノ教室に通っていたので簡単なのは弾けるのだ。


 ドローンカメラを買ったリサイクルショップで子供用の小さなピアノを売っていた。人間味を見せれるのではと思い僕は小さなピアノを購入しダンジョンに持ってきた。


「ふんひょ、ふんひょ」


 僕は、ピアノの足を口に咥えカメラ前に持ってきた。


「では、猫踏んじゃったを弾きます」


 僕は、前足を使いピアノを弾いた。


『本当に....犬ではないのか』

『素晴らしい!!』

『感動です』


 とコメントを頂いたので、ようやく信じてもらえたので僕は配信を終えることにした。


 

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