スーパーロボット団地・ロボ団地1、2
浅倉 茉白
スーパーロボット団地・ロボ団地1
「ハカセー、なにしてるの」
「スーパーロボット団地・ロボ団地の設計図を書いておるんじゃよ」
「えー。なにそれー」
「じゃから、スーパーロボット団地・ロボ団地の設計図を書いておるんじゃよ」
「えー。わかんないー」
「じゃぁかぁらぁ。スーパーロボット団地・ロボ団地の設計図を書いておるんじゃって!」
それから、約三年の月日が流れた。
「いけぇ、スーパーロボット団地・ロボ団地! 発進じゃ!」
「博士って、やっぱすげぇや!」
これは、そんな小学生とやや高齢の博士の二人が、一つの地球と、一つの団地を守る物語。
西暦20××年。地球を巡る環境は悪化していたが、人類はまだ死滅していなかった。
そんなある日、突如として日本政府が奇妙な発表をした。
『宇宙人が、田舎のとある場所をミサイルで襲撃すると公表』
そもそも、宇宙人の存在自体が世間にまだ公表されていなかった中。どうやら極秘で続けていた関係性がこじれ、田舎のとある場所が襲撃されることになったらしい。
「田舎のとある場所ってどこ。幅、広すぎるよ」
「もしかしたら、ここかもしれんな」
「博士、何か思い当たる節あるの?」
「いや。じゃが、こんなこともあろうかとワシは備えてきた。この団地を、スーパーロボット団地・ロボ団地に変えて」
「えー。なにそれー」
「忘れてしまったのかサトルくん。昔と同じ反応をしておるぞ。ワシはこの団地を、スーパーロボット団地・ロボ団地に改造したんじゃて」
「えー。何言ってるかわかんないよー」
「じゃからぁ、この団地をスーパーロボット団地……もうええわ。要するに、宇宙からの襲撃が来ても大丈夫ってことじゃ」
「へぇー。博士って、やっぱすげぇや!」
再び、時を遡ること三年前。
博士とサトルくんが住むこの団地は、建て替えをするか修繕をするかの判断を迫られていた。結局、博士が擁する修繕派が票を多く取り、ついでに博士は、この団地を修繕ついでに、スーパーロボット団地・ロボ団地に改造した。
見た目は、特にこれまでと変わっていない。それは、いざというときに変形するためである。
時を現在に戻す。
「サトルくん。あれを見ろ!」
「えぇー。何あれー。流れ星?」
「違う。あれは、宇宙から降らされた、特別なミサイルじゃ。サトルくん、ついにこのときが来たのじゃ」
「ええっ? このときって?」
「スーパーロボット団地・ロボ団地。発進のときじゃ」
「ふわぁぁぁ。博士。朝から、さっきから、何言ってるの? そんなこと、現実にあるわけないじゃん」
「急なことで、信じたくないのも無理はない。じゃが、もう時間はない。いけぇ、スーパーロボット団地・ロボ団地! 発進じゃ!」
「博士って、やっぱすげぇや!」
「それは、どういう意味かの」
辺りが、ズゴゴゴゴゴと、大きな音を立て始める。
「博士、これからどうなるの」
「安心せい。この団地が、ちょっとばかし、真っ直ぐ背が高くなり、横から腕が出て、レーザーサーベルで、ミサイルを撃ち返すだけじゃ」
「へぇー、そうなんだ。じゃあその間、普通に生活しててもいいの?」
「そうじゃ。じゃが、今外に出るのは危ないというアナウンスを、サトルくん、してくれんかの?」
「いいよ。ここに向かってしゃべればいいの? 『えっと、皆さん聞いてください。今から、スーパー団地ロボ・ロボ団地が』」
「スーパーロボット団地、じゃ」
「『えぇー、スーパーロボット団地・ロボ団地が、宇宙からのミサイルを撃ち返しますので、それまでは皆さん、安全のため、家の中でお茶でも飲みながら待機していてください』これでいい?」
「バッチリじゃ。では早速、お茶を用意するとしよう」
「博士、せんべいもお願い」
「しまった。切らしておった」
「えー。何してるの博士」
「すまんすまん。さてと、もう終わったようじゃな」
「ええっ、もう終わったの?」
「さっき一瞬、辺りが光ったのと空から爆発音がしたじゃろ? 聞こえんかったか?」
「いや聞こえたけどさー。ちょっと早くない?」
「まぁまぁまぁ。それだけ時間がなかったってことじゃ。さて、またアナウンスしてくれ」
「『えー、ロボ団地の仕事が無事、終了しましたー』」
「あっ!」
「『なんですか、博士』」
「ロボ団地を、元に戻す方法を考えておらんかった……」
「『ええっっ! そんなことがあるんですか?』」
「もぉ、仕方ない!」
「『博士、何しているんですか』」
「ロボ団地を元に戻す、設計図を書いておるんじゃ!」
「『博士って、やっぱすげぇや!』」
おわり。
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