第十五話 先輩達の絆。異性としての絆。幼馴染としての……

「桑田先輩いつキスるんですか」


 長篠がまた頬杖を突いて、文句を垂れた。


「いや、しない。絶対しないから!」


「王様のめいれーは絶対!」


「ねぇ、君後輩だよねぇ?」


 翔の酔っぱらいくさいジジイみたいな性格は、まだマシだ。

 でも、桑田先輩よりも、斎藤先輩のクールさが残酷だ。

 きっと、幼馴染は負けヒロインが確定しているのかもしれない。

 考えているうちに、沢田が桑田先輩の背中を振り始め、結局はキスに膨らんだ。


「いいの? 斎藤」


「うん。ティッシュ挟んだらいいだろ」


 顔を近くしている二人と、それに頭を抱えている先輩がかわいそうと思ったから。


「浅田先輩!真ん中ティッシュで挟んだげてください!」


 そうフォローした。フォローになるかは分からないけれど。


「おう…………」


 元気いっぱいの先輩が、見ないように、見ないようにとティッシュを持ち上げて目をそらす。


「キース! キース!」


 コールと共に、先輩たちが唇を合わせようとした。

 両者が目をつむって、それと同時に浅田先輩が僕を見る。 きっと、好きな女子と親友がキスするところを見たくなかったのだろう。


 ”どう思う? これ…俺かわいそうじゃね?”


 僕には彼の心の声が漏れ出ていて、その隣では馬鹿な男がそれに気づかずキスコールをしていた。

 そうして、僕が先輩を憐れんでいるうちに、キスコールが止まる。


「はぁ」


 浅田先輩がため息をついた後、現場を見ると同時に黄色い声援が聞こえてくる。

 。そうじゃないの?

 僕の目の前には顔を真っ赤にしている桑田先輩と、口を拭いて酒で流す斎藤先輩の姿があった。

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