”うるわしの、名画物語”~掌編連作~
夢美瑠瑠
第1話 『モナ・リザ』
… … ルーブル美術館にも夜の
例の「
歴史上最大の芸術家の、最高の傑作。
…正体不明の美女が
認識している感覚器官が存在せず、それゆえ、唯我論的には、
…後には、例の、モーリスルブラン氏の妄想の具現・
(「諸君、『モナ・リザ』はいただいた!もし返してほしければ…」とかの?)
そうではなかった。
この不可思議な、謎の多いマスターピース、『モナ・リザ』に
れていた最後の謎、”究極のミステリー”が解発されただけであった。
『モナ・リザ』、”この絵には何かの秘蹟が隠匿されている!”…直観力に長けた人間はすぐピンと気が付く。
それがなにかはわからない。が、曰く言い難い、
重ねた手首。秀でた額。古典的ないでたち。
独特な遠近法と構図で描かれた、
ダ・ヴィンチは、なにかわけはわからないが、観るものすべてになんらかの「謎」をしかけ、問いかけているのだ!
むしろ超感覚的にそれは、明敏な拝観者には伝わるがゆえに、多くの解釈がなされてきた。
曰く、「どこから見ても、モデルと視線が合う、特殊な遠近法で描かれている…」
曰く、「別の女性の姿が、重ねて、描かれ、消去されている…」
曰く、「意味不明の数字が、いくつも、隠して描かれていることが判明…」
たくさんの研究家が、そういう様々な解釈をしてきたが、それは結局ただの的外れで、空虚な”
本当の”ダ・ヴィンチ コード”。
それは、この『モナ・リザ』が存在するがゆえに、誰もが知るこのアイコンが刻み込んできた莫大な
それはダ・ヴィンチと、彼が親炙していた”超存在”、アカシックレコードをも自在に設計し直せるような、ある超越的な”神?”の、
つい今しがたまで『モナ・リザ』が展示されていた場所に残された、ぽっかりと空虚な画架。
そこにあったはずの「名画」がどういうものであったかは、いまやもう、人々の記憶からすっかり抹消されて、チェシャ猫の嗤いのように、静かな余韻の、余燼だけが燻っている…ような気配があった。
そうして、狂った歴史の歯車は、次の瞬間「カタリ」と、宇宙規模の”バタフライ効果”を惹き起こした!
見よ!
寸秒、極彩色のパノラマ視現象が、大宇宙に明滅し…
…まるで
…偏在する”神”がうっすらと
”なべて世は、こともなし。”
<Fin>
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