第4話

すると突然、クソ兄貴が顔を近付けてきた。




「ちゃんと寝てるか?」




「…寝てる、と思う」




「ハァ…もう今日は帰って寝ろ。明日入学式だろ?」





どうもムズ痒い雰囲気が漂う。人に面と向かって心配されることはいつだって慣れない。




「…うん」



大人しく私は従った。

すると奴は嬉しそうに満足そうに笑った。




「おやすみ」














そのまま真っ暗な夜道を歩く。黒のパーカーに黒のズボン。そんな装いの私に絡んでくる馬鹿はもういなかった。


どこにでもありそうなマンションの階段を上がり、2階へと辿り着く。鍵を開ければ真っ暗な室内。何も言わず部屋に上がり、シャワーを浴びればベッドへとダイブした。




…明日か。



暗い部屋の中、見えない天井を見つめる。

そうしている間に夢の世界へと踏み入れた。

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