第4話 写真撮影の協力と雨男

そして、待ちに待った夜が来た。


だが、またもや私の願望は叶わなかったのか


雨は降らなかった。


でも家にいるのはどことなく嫌だったので


また今日もいつもの公園のベンチに向かった。


それから数分後、


「あ、今日も来てたんだ。」


また、あの男子が私の目の前に姿を現した。


その時、ぽつ、ぽつと雨が降り出した。


私が驚きながら上を向いてると


「あぁ、ごめん。僕雨男なんだよね」


雨男..。


だから昨日、別れたあと雨が止んだのか。


「大丈夫。その前に、名前なんだっけ?」


私が名前を聞くと


「海橋 楓。女っぽい名前だよね」


と半笑いをしながらそう言った。


でも、名前が女らしいとか私にはどうでもいいことだった。


「別に。女っぽいとかどうでもいい」


「ありがとう。」


そう言いながら海橋くんは


少し照れくさそうに笑った。


「そういえばさ俺、今日の朝先生に怒られてたじゃん?」


あぁ、そういえばそうだったな。


「うん」


「それでさ.....協力して欲しいことがあるんだけど...」


協力?出来るだけ面倒臭いことはしたくないな...


「私にメリットがあるなら受けるけど...」


「メリットか.....」


「あ、その前に協力して欲しいこと言うね」


「雨宮さんの写真を撮らせて欲しいんだけど....」


写真?もしかしたら変な性癖が.....。


「あ!!別に変な意味じゃなくてね?!」


ますます怪しい...。でも雨男か....使えそう...。


「雨男なんでしょ?じゃあその写真に雨要素が入ってたらいいよ」


「本当に!?ありがとう!!」


「あ、でも騒がしくないところで写真撮って欲しい。出来るだけ自然なところで」


「おっけー!!じゃあ今週の土曜に海行こう!!」


海...?雨降らすのに海?


「...分かった」


「じゃあまた!!楽しみにしててね!!」


そう言い海橋くんと別れた。


やはり海橋くんは雨男らしい。


海橋くんがいる場所だけ、雨が降っているから。


この写真を撮ったら間違いなくバズるだろう。

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