第4話 闇にひそむ証拠
ホームズとワトソンは、藤井の証言を元に次の行動を決めた。佐藤一郎、藤井修一、そして旅館のその他の住人たちがどのように絡んでいるのか、その全貌を暴くためには、さらなる証拠を掴まねばならない。
「ワトソン、全ては佐藤一郎と藤井修一の関係に繋がっている。彼らが隠している真実を引き出すのが鍵だ」ホームズは冷静に語った。
ワトソンは黙って頷いた。「彼らは何か恐ろしい秘密を抱えているようですね。けれど、それを明らかにすることができれば、佳子さんの死の真相も見えてくる」
二人は旅館の裏口からこっそりと出て、佐藤と藤井が頻繁に会っていた場所、地元の隠れ家のような場所へ向かうことにした。途中、ホームズは何度も推理を口にしたが、それらは一つ一つが見事に繋がっていった。
「藤井は、不正な土地取引に関わっていた。しかし、佐藤の暴力団とのつながりが、彼らの関係にとって重要な要素だ」ホームズは言葉を続けた。「佳子はその真実に気づいてしまい、彼らにとって目障りな存在となった」
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隠れ家での対決
二人が到着したのは、古びた倉庫のような建物だった。入口には番人が立っており、誰が来ても通すことはなさそうだった。しかし、ホームズは自信を持ってその番人に近づいた。
「私たちは、佐藤一郎と藤井修一に用がある」ホームズは、冷徹な目で番人を見つめた。「ここで何が行われているか、私たちの理解を得る必要がある」
番人は一瞬ためらったが、ホームズの目の前で足を踏み外したように気圧されて、そのまま扉を開けてくれた。
「ありがとう」ホームズは一言だけ告げて、ワトソンと共に建物の中へ足を踏み入れた。
中には、佐藤と藤井が待っていた。二人は、表情こそ硬いが、どこか不安げに待っていた。佐藤は、彼らがこの場所に来ることを予想していたかのように、やや冷笑を浮かべていた。
「ようこそ」佐藤が皮肉を込めて言った。「だが、ここで何をするつもりだ?」
ホームズはじっと佐藤を見つめ、言った。「あなたは、佳子の死に深く関わっている。そして、あなたと藤井がつるんでいることは、すでに分かっている」
藤井はその言葉に激しく反応し、立ち上がった。「何を言っている! 俺たちは何もしていない!」
「お前たちがしていることはすべてバレている」ホームズは、藤井を冷徹に見つめた。「お前たちは、佳子が持っていた証拠を恐れていた。そして、それを抑えるために彼女を殺したんだ」
佐藤は冷ややかに笑った。「あなたの推理も、ここまで来たら滑稽だな。俺たちはただ、金を動かしていただけだ。そんなことに死を引き起こす理由があると思っているのか?」
ホームズは冷静に答えた。「金が動けば、人は死ぬ。そのことをあなたたちが一番よく知っているはずだ。佳子があなたたちの不正を暴こうとしたから、彼女を黙らせる必要があったんだ」
その瞬間、藤井が短い笑い声を上げ、そして顔を歪めた。「そうだ、俺たちはやったんだよ。佳子は邪魔だった。彼女が口を閉じれば、俺たちはもっと楽に金を手にできた」
ワトソンが怒りをあらわにするが、ホームズは手で制止した。「藤井、どうしてそんなことを言うんだ?お前にはまだ、逃げ道があっただろうに」
「逃げ道? もう遅いんだよ、ホームズ」藤井は冷笑を浮かべて言った。「お前がいくら突き止めても、もう後戻りできない。佐藤と俺は、もう何度も手を汚している。何も怖くはないんだ」
ホームズは一歩前に出た。「それでも、まだお前たちは失敗する。」
「なに…?」藤井が驚いた顔をしたその瞬間、ワトソンが手錠を取り出し、藤井の腕にかけた。
「終わりだ、藤井」ワトソンは厳しく言った。「逃げる場所はもうない」
佐藤の顔が険しくなった。「お前ら、警察を呼んでどうするつもりだ?」
ホームズは、冷静に一歩後退し、スマートフォンを取り出した。「警察に連絡済みだ」
「な、何だと…!」佐藤が動揺を隠せない様子で言った。
「あなたたちの全ての犯罪は、もう証拠として集められている。賭博、麻薬、不正取引、そして殺人。すべてが繋がっている」ホームズは、ゆっくりと佐藤を見つめた。「あなたたちには、もう逃げ道はない」
その後、警察が到着し、藤井と佐藤は逮捕された。二人の不正な活動は明るみに出て、佳子の死もまた、完全に解決を見た。
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エピローグ
事件が解決し、ホームズとワトソンは再び旅館を後にした。事件の背後に隠された悪事と、そこに絡む人々の暗い過去が明らかになったことで、静かな夜が再び東山に戻ってきた。
「また一つ、解決できたな」ワトソンが言った。
「ええ」ホームズはゆっくりと答えた。「だが、次の事件も待っている。人間の欲望と闇は、終わることがないからね」
二人は歩みを進め、静かな京都の街に消えていった。
このクソみたいな世界2 適切な文字数一章4000 鷹山トシキ @1982
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