このクソみたいな世界2 適切な文字数一章4000

鷹山トシキ

第1話 山県(ワトソン)と烏丸(ホームズ)の推理

 山県(ワトソン)

 烏丸(ホームズ)喫茶店マスター

 

 京都府内の事件


 京都の街角、繁華街から少し外れた場所にある、落ち着いた雰囲気の喫茶店「カフェ・ド・ホームズ」。店内には、カウンター席と数席のテーブルがあり、温かいコーヒーの香りが漂っている。店のマスターである烏丸(ニックネームはホームズ)は、シンプルなスーツを着こなし、知的な雰囲気を漂わせていた。その隣には、いつも一緒にいる友人の山県(ニックネームはワトソン)が座っている。


 山県は、元警察官であり、今ではホームズと共に数々の謎を解くパートナーだ。今日も、静かな午後を過ごしていたが、何か不穏な気配が漂っていた。突然、ドアが開き、慌てた様子で女性が入ってきた。


「すみません…助けてください!」


 女性は、目の前のカウンターに駆け寄ると、烏丸(ホームズ)を見つめて言った。


「私の名前は小林真由美。京都府内で起きた事件について、どうしてもあなたに相談したいんです」


 ホームズは静かにコーヒーを一口飲んだ後、落ち着いた声で答えた。


「何か困ったことがあるのか、真由美さん。話してごらん」


 真由美は深呼吸をしてから、話し始めた。


「実は、昨日の夜、私の友人である高橋佳子が殺されました。事件現場は、京都の東山地区にある古い旅館です。警察も捜査を始めましたが、まだ何も解決していません。けれど、どうしても私一人では怖くて、真実が見えないんです」


 ホームズは考え込んだ。事件の背景には何かしら不審な点がありそうだった。


「なるほど。それで、あなたが私に頼んだ理由は?」


 真由美は少し躊躇いながらも、続けた。


「実は、警察の捜査では高橋が自殺だった可能性もあると言われています。でも、私はどうしてもそれが納得できなくて…何かが隠されている気がするんです」


 山県は一度真由美を見つめ、そしてホームズに向き直った。


「確かに、佳子さんが自殺するような人物には見えなかった。彼女は周囲から好かれ、今後も明るい未来が待っていたはずだ」


 ホームズは軽く頷きながら、真由美に質問を始めた。


「真由美さん、事件現場の詳しい情報を教えてくれるか?」


 真由美は少し戸惑いながらも、全てを話し始めた。


「佳子は古い旅館で、そこで偶然出会った知人と話していたと聞いています。警察が調べたところ、その知人はその夜、急に姿を消してしまったらしいんです。警察は、もしかしたらそれが事件に関係があるのではないかと考えています」


 ホームズは思案顔で頷いた。


「知人が消えた…それは興味深い。私たちが最初に調べるべきは、その知人の足取りだ」


 山県は軽く目を細め、続けて言った。


「でも、警察はどこから手をつけているんですか?」


「警察はまだ表面的な捜査にしか手をつけていないようです。旅館の従業員や近隣住民の証言を集めているだけですが、真実に迫るためにはもっと深い掘り下げが必要です」真由美は少し落ち着きを取り戻していた。


 ホームズはカップを置くと、鋭い目で真由美を見た。


「わかりました。それでは、私たちがその知人を追うために必要な情報を手に入れるべきだ。まずは、その知人がどのような人物か、そしてその夜に何が起きたのかを詳しく調べよう」


 山県は静かにうなずくと、立ち上がり、烏丸(ホームズ)とともに立ち上がった。


「行こう、ワトソン。事件の真相を解き明かすために」


 二人はカフェを後にし、京都の東山へ向かった。事件の謎は、少しずつ明らかになっていくのだった…。


 以下は「山県と烏丸」という探偵キャラクターが登場する東山散策をテーマにしたミステリーの本編の一部です。



---


東山散策

昼下がりの京都。街は静かで、古びた石畳の道にはほんのりと秋の気配が漂っている。東山エリアに足を踏み入れると、どこか懐かしく、しかし心地よい空気が包み込んでくる。


「さて、今回はどんな謎が待っているんでしょうね、山県さん?」

烏丸(からすま)は、軽く口元をほころばせながら、隣を歩く山県に尋ねた。

山県(やまがた)は沈黙を保ちながら、ただ静かに歩いている。その眼差しは、周囲の景色をじっくりと観察していた。


「東山には昔から不思議な話が多い場所だからな。俺たちの仕事も、ここでは時々奇妙な展開になる。」

山県の低い声に、烏丸は少し驚いたように視線を向けた。「不思議な話?」


「例えば、この辺りに伝わる奇妙な遺物の噂がある。」

山県がちらりと東山の方向を見ながら言った。

「遺物?」烏丸が首をかしげると、山県は少しだけ笑った。

「人々が忘れたものを、誰かが取り戻そうとしている…そんな感じだ。」


二人が歩みを進めると、清水寺の壮大な舞台が見えてきた。人々が賑わうその周りを囲む木々の中に、古びた小道がある。少し足を踏み入れた先に、何とも奇妙な雰囲気が漂っていた。

「ちょっと立ち寄ってみようか。」山県が提案した。


二人が歩いていくと、突然、足元に何かが光った。

「これ、何だ?」烏丸がその光る物体を拾い上げると、古びた銀のペンダントが現れた。

ペンダントには、何かの文字が刻まれているが、それは今の技術では解読できない古代文字のようだった。


「これは…」山県は冷静にそれを見つめた。「誰かがこれを探していたのだろう。」


二人の間に、何とも言えない緊張感が走った。

「それは、まさか…」烏丸が思わず言葉を漏らす。


「まだ確証はない。」山県が低い声で答えた。「だが、これを拾ったことが、事件の鍵を握っているのかもしれない。」


その時、風がひとしきり吹き抜け、周囲の木々がざわめく音が聞こえた。

「このペンダントを持っている者に、何かが起きる。」山県が予感めいたことをつぶやくと、烏丸はその言葉に不安を感じた。


そして、二人は新たな謎を追い求めて東山の奥へと足を踏み入れるのだった。



続き


山県と烏丸は、清水寺の近くで拾った古びた銀のペンダントを手にし、周囲を見渡した。薄曇りの空から差し込む光が、道の隅々に陰影を作り出し、奇妙な雰囲気をさらに引き立てていた。


「これが何か重要な物だとすれば、すでに誰かが気づいているかもしれない。」山県が冷静に言った。

「そうだな。こんな物を街中で拾うなんて、確かにただの偶然とは思えない。」烏丸はペンダントをもう一度じっと見つめながら答えた。


二人は再び歩き出し、清水寺を背にして東山の静かな小道を進んだ。道を挟んで立ち並ぶ古い町家の窓からは、ひっそりとした生活の気配が感じられる。しかし、この街並みの中にも、どこか不安を覚えるものがあった。


山県が歩みを止めた。「あの建物を見てみろ。」

烏丸が目を向けると、遠くにひっそりと佇む古びた茶屋が見えた。その屋号は「梅園」。その外観は時代を感じさせ、今にも時間が止まったかのような雰囲気が漂っていた。


「梅園…確か、あの店は長いこと使われていないはずだが。」

「そうだな。」山県が答えた。「だが、何か気になる。あの店には、昔からいくつかの奇妙な噂があった。」


二人は足を進め、茶屋の前に立った。戸を軽く押すと、きしむ音が響き、古びた店内が顔を出した。暗がりの中に、古びた木のテーブルと椅子が並び、カウンターには古い茶器が並べられている。


「誰かいるのか?」烏丸が声をかけると、奥からゆっくりと現れたのは、年老いた女性だった。彼女は長い白髪を束ね、目元には深いシワを刻んでいるが、どこかしら鋭い眼差しをしている。


「おや、いらっしゃい。久しぶりですね。」

その女性の声には、どこか懐かしさと共に、警戒心も感じられる。

「ここに来るのは久しぶりです。」山県が静かに答えた。

「また、あのことを思い出しに来たのでしょう?」女性が一歩進み、ペンダントを見つめた。

「…あなたが、それを知っているのか?」山県が鋭く聞いた。


女性はゆっくりと頷いた。「あれは、昔、私が持っていたものです。けれど、長い間どこかに忘れられ、そしてまたこうして現れるとは。」

「それが、どうして今になって。」烏丸が問いかけた。


女性は深く息を吸い込み、そして言った。「あのペンダントは、ただの装飾品ではありません。かつて、ここ東山の一帯で起こった一つの事件に関わる物です。」

「事件?」山県が眉をひそめた。「それは…」


「そう。昔、この町で起こった失踪事件。人々は、失踪した人物が残したあのペンダントが、何かの印だと信じていた。」

「それは…どういうことだ?」烏丸が更に尋ねると、女性はゆっくりと語り始めた。


「失踪したのは、ある名家の若い女性でした。彼女は、何かを探し求めていた。それが、東山のどこかに隠されていると言われていたものだった。そして、そのペンダントは、事件の核心に関わる物だった。」

山県は黙って聞き入った。

「その女性の失踪後、東山一帯では不気味な噂が広まり、ペンダントの行方を追う者たちが現れた。やがて、誰もがその真相を知ることなく、時間が流れ、ペンダントも失われた。」


「そして、今…」山県が言った。「そのペンダントが再び現れた。」


女性は静かに頷き、店の奥へと戻った。「私には、もう関わりたくないことです。ですが、あのペンダントを持つ者には、必ず影がついて回る。それが、運命というものです。」


山県と烏丸は無言で店を後にした。外の空気は少しひんやりとしていて、秋の風が木々を揺らしていた。ペンダントが今、再び彼らの手の中にあることが、何か大きな流れを引き寄せていることを二人は感じていた。


「このまま、放っておくわけにはいかないな。」山県がつぶやいた。

「そうだな。」烏丸も頷いた。「東山には、まだ見えない暗い部分が隠れているようだ。」


二人は再び歩き出した。目的地はまだ見えていなかったが、確かにこの謎が彼らを導く場所がどこかにあることを感じながら。



---


この続きでは、ペンダントを巡る謎がさらに深まり、山県と烏丸がその真相を追い求めていく様子を描いています。




---


この物語は東山の風景を背景に、神秘的な事件が展開するミステリーの一部です。山県と烏丸の二人が、偶然拾った遺物を手がかりに謎を解き明かしていく過程を描いています。




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