第12話 闇との対峙
光に包まれた道を歩いていたミノは、これまでとは違う不安な気配を感じました。空がだんだん暗くなり、温かかった風も冷たく重たくなっていきます。
「何だろう……?なんだか嫌な感じがする。」
ミノが立ち止まると、遠くの方から黒い霧のようなものがゆっくりと近づいてきました。それはただの霧ではなく、まるで生きているかのようにうごめいています。そして、どこかから低い声が聞こえました。
「お前が持つその宝石……それは、私がいただく。」
「だ、誰!?」
突然、霧の中から大きな黒い影が現れました。その影は目も口もなく、ただ真っ黒な姿をしていました。しかし、その存在からは重苦しい“闇”の力が漂っていました。
「お前が手に入れた“家族の愛”……それはお前には似合わない。」
影はゆっくりとミノに近づいてきます。
「どうせ、お前は一人だ。家族の愛なんて幻だ。」
ミノはその言葉にハッとしました。影の言葉は、まるで昔の自分が言っていた言葉のようです。「どうせ、誰もぼくを愛してくれない……」――そんな気持ちが心の奥から少しずつ湧き上がってくるのを感じました。
「違う……違う!」
ミノは頭を振って、その思いを打ち消そうとしました。でも、影はまるでその弱い心を見透かしているかのように、さらに続けます。
「お前はずっと、愛されていなかった。宝石など、すぐに消えてしまう偽りだ。」
ミノは胸に手を入れ、家族の愛を象徴する宝石をぎゅっと握りしめました。
「違う!お父さんも、お母さんも、兄弟たちも……みんな、ぼくを愛してくれていた!」
その瞬間、ミノが握る宝石が温かく光り始めました。宝石の中から、これまでの天使たちや家族の優しい笑顔が浮かび上がります。
「ぼくはもう、闇に惑わされない!」
ミノが宝石を高く掲げると、その光が周りの闇を少しずつ照らし始めました。影は光を嫌がるように、ぐらりと揺れました。
「光だと?お前ごときに、この闇は倒せない……!」
影は大きな手のような形に変わり、ミノに向かって伸びてきました。
「うわっ!」
ミノはとっさに体をよけますが、闇の手は地面を黒く染めていきます。触れるものすべてを飲み込んでいくようです。
「こんなものに負けるわけにはいかない……!」
ミノは再び宝石の力を思い出しました。天使たちが教えてくれた言葉――「信じる心が力になる」。
「そうだ……。ぼくはもう一人じゃない。家族の愛が、ぼくを守ってくれる!」
ミノはゆっくりと宝石を胸に当て、目を閉じました。そして心の中でつぶやきます。
「お父さん、お母さん、みんな……ぼくに力を貸して。」
その瞬間、宝石が強く輝き始めました。光はミノの体を包み込み、まるで鎧のように守ってくれます。
影はその光に怯えて叫びました。
「やめろ!その光を止めろ!」
でも、ミノはもう止まりません。光の中から、天使たちの優しい声が聞こえてきました。
「あなたなら大丈夫。信じるのです。」
「家族の愛が、あなたを守っているわ。」
ミノは目を開け、しっかりと影を見つめました。
「闇なんかに、ぼくの宝石を渡さない!」
ミノが宝石の力を前に向けると、光がまるで矢のように影に向かって飛んでいきました。
「うわああああ!」
影は光に包まれ、苦しそうに叫びます。そして、少しずつその姿が小さくなっていきました。
「こんな……こんな光に……!」
最後に、影は小さな黒い霧となり、風に吹かれて消えていきました。
辺りは再び静けさに包まれ、空には優しい光が戻ってきました。ミノはその場に座り込み、ほっと息をつきました。
「やった……。ぼくはもう、闇に負けない。」
ミノの胸にある宝石は、これまで以上に輝いて見えました。その光は、まるで、ミノの心の中の愛がもっと強くなったことを表しているようです。
「家族の愛が、ぼくに力をくれたんだ。」
その言葉を口にすると、ミノの胸の中がぽかぽかと温かくなりました。もう、孤独や不安に負けることはありません。
そのとき、天使たちが再びミノの前に現れました。
「よく頑張りましたね。」
天使たちは優しくミノを見つめています。
「闇に打ち勝つ力は、あなたの中にある“愛”です。それを忘れないでくださいね。」
ミノは笑顔で天使たちに答えました。
「うん。もう大丈夫。ぼくは一人じゃない。」
天使たちは手を広げ、輝く道を指さしました。
「さあ、次のステップに進みましょう。あなたの旅は、まだ続きます。」
ミノは立ち上がり、新しい道を力強く歩き始めました。
――闇との戦いを乗り越えたミノは、もう昔のように弱い自分ではありません。
家族の愛を信じ、守る力を知ったミノの心には、今まで以上に大きな光が広がっていました。
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