長い長いアリエルの試験の旅路~見習い魔法少女と黒の魔導士~
卯月二一
第1話 黒炎
※全6話となります。
眼下に広がる黒炎、巨大な街を包み込む異様な色の大火はそこに住む者すべて、悪しき者も善き者も容赦なく灰へと変えていく。小高い丘に立つのは王国から特別に
「これで奴らの拠点はすべて潰したことになるね。凄いよシヴァレイス! 君の力のお陰で僕達の正義の実現も目前だ」
興奮気味に話すのは、教会による神の神託により選ばれた、純白のマントを
「いや……」
俺は、何かを言おうとして口を
「どうしたのさ? 残すは最終決戦。ここまでの長く苦しかった戦いもあと少しだよ。そんな顔しないで、あと少しで僕らは人類にとっての英雄になれるんだからさ!」
「それは……、人にとってのな……」
俺はそう呟くと、漆黒のマントを
「俺は、この戦いから降りる」
そしてそうラインハルトに辛うじて聞こえるほどの声で、俺は続けた。
「えっ!? 何を言って……。ねえ、待ってよ! そんなこと女神様が許すはずないじゃないか」
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