第三章・裂けゆく静寂
「船に乗れ!」
指令室から逃れた出木杉の声が通路に響く。緊急避難用の小型艇に、負傷者を次々と送り込んでいた。
艦内の照明は断続的に点滅し、爆発の残響が揺れるたび、鋼鉄の床が軋む。
「ほんの一瞬だけ風が鳴き、鋭いそれに代わるように、私の頬を暴風が撫ぜた」
出木杉の脳裏をよぎるのは、かつての風景。あの――信太の地で。
「機械猫……権娃の菫から魯国の武のもとに遣わされた、救援を求める使者。」
銅鑼右衛門を初めて見たとき、誰かがそう呼んだ。
「だれが清純のお嫁さま?」と誰かがふざけて笑ったのを、今でも覚えている。
ところがどっこい、どうしても行けねえちゅうわけだ。
出木杉は唇をかみしめ、冷却装置の陰に隠れていたひとりの青年を引き起こす。
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