第二章 不思議な夢
その夜、美世は不思議な夢を見た。夢の中で、彼女は古い城のような場所を歩いていて、突然、壁の一部が光り輝く鏡に変わった。鏡は彼女に向かって、「真実を映し出す時が来た」とささやいた。
目が覚めた美世は、夢の意味を考えながらベッドに座り込んだ。その日の学校で、彼女はぼんやりとした頭で授業に参加したが、夢のことが頭から離れなかった。
放課後、美世は清霞にこの夢のことを話した。清霞は興味深そうに聞き、「もしかしたら、それは何かの前触れかもしれないね。こういう古い伝説や物語が好きなら、図書室で調べてみるのもいいかもしれない」と提案した。
二人は図書室へ向かい、古い伝承や神秘的な話題の本を何冊か手に取った。その中に、「運命の鏡」と題された本があり、美世はそれを興味深く読み始めた。本には、特定の夜に特定の人々だけが見ることができる鏡の伝説が記されていた。
読み進めるうちに、美世は自分の夢と似た話が何ページにもわたって描かれていることに気づいた。彼女はこのことを清霞に話し、二人でその夢が何を意味するのか、もっと深く探ることを決めた。この夢が、美世の中に眠っている何か大きなものの始まりであることを、彼女自身が感じ始めていた。
数日後のある午後、学校の歴史部が主催する展示会が開かれた。美世と清霞は興味津々でそれを訪れ、様々な古文書や遺物を見て回った。その中で、特に一つの展示品が美世の目を引いた。それは、彼女の夢に出てきたのとよく似た古い鏡だった。
美世はその鏡の前に立ち、じっとその表面を見つめた。すると、鏡は再び輝き始め、美世の目の前で奇妙な光景が展開された。鏡の中には、美世自身が別の時代の服装をしており、強大な力を使って人々を守っている様子が映し出されていた。
清霞が彼女の隣に立ち、「これはすごいね。君の夢と何か関係があるのかもしれない」と言った。美世は、自分の中に何か特別な力が隠されているのではないかという感覚を強く感じた。
その瞬間、鏡の映像が変わり、美世の先祖が同じ鏡の前で同じように力を使っている場面に切り替わった。これにより、美世は自分が古い力の継承者であることを悟った。清霞は彼女の手を握り、「これは君の運命かもしれない。僕が全力でサポートする」と約束した。
この出来事が、美世に自己認識と新たな使命感を与え、彼女は自分の中の未知の力を探求し始める決意を固めた。展示会からの帰り道、二人はこれからのことを真剣に話し合い、美世の新たな人生が始まることを互いに確認した。
美世の突然の変化と鏡の出来事は、学校中で噂となり、多くの生徒がその話題で持ちきりだった。しかし、美世の異母妹である斎森香耶は、この全てを良く思っていなかった。香耶は、美世が特別な扱いを受けることに嫉妬し、疑念を抱いていた。
ある日、放課後の教室で香耶は美世に近づき、鋭い目つきで問い詰めた。「美世、あんたのその急に出てきた“能力”って本当に本物なの? それともただの注目を集めたいだけ?」香耶の声には冷たさが滲んでいた。
美世は香耶の言葉に少し傷つきながらも、静かに答えた。「香耶ちゃん、私もまだ全てがわからないけど、鏡のことは本当よ。自分でも驚いているの。あなたにも理解してほしい。」
しかし、香耶は美世の言葉を信じようとせず、ますます彼女に対する妬みを強めた。「私がいつも二番手なのはわかってる。でも、こんな不思議なことでまで目立とうとするなんて許せないわ」と言い放ち、その場を去った。
この対立は次第に二人の間の溝を深めていき、美世は香耶との関係をどう修復すればいいのか悩むようになった。一方で、清霞は美世を支え続け、彼女が自信を持って前に進めるよう励ました。
美世は自分の能力と家族の間で生じたこの亀裂をどうにかしたいと願いつつ、解決策を見つけるために努力し続けることを決意した。彼女は香耶の心の中にある痛みを理解しようとし、いつか真実を共有できる日を願っていた。
美世の新たな能力と家族との複雑な関係に悩んでいる中、彼女は信頼できる友人たち、五道佳斗とゆり江に相談を持ちかけることに決めた。ある週末、彼らは学校の近くのカフェで集まり、美世は自分の心境を打ち明けた。
五道は美世に対して優しく、理解ある言葉をかけた。「美世、君がこれまで経験してきたことは誰にでも起こり得ることじゃない。でも、君がその力を持っていることは何か意味があるんだ。」
ゆり江もまた、温かいアドバイスを提供した。「美世ちゃん、家族とのことは難しいかもしれないけれど、君の真実は時間をかけて受け入れられるものよ。焦らなくていいの。」
美世は二人の言葉に心から感謝し、少し心が軽くなったように感じた。彼らの助けを借りて、美世は自分の内面と向き合う勇気を持つことができた。
「ありがとう、二人とも。こんなに支えてもらえて、本当に幸せだよ。これからどう進むべきか、もっとはっきりと考えられる気がする。」美世がそう言うと、五道とゆり江は笑顔で応じ、「いつでもここにいるからね」と力強く支え合うことを約束した。
この対話を通じて、美世は自分の立場をしっかりと理解し、これからの困難に立ち向かうための新たな力を得た。彼女は友人たちとの絆を深め、これからも彼らと一緒に前進していくことを心に誓った。
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