わたしの幸せな結婚 in My Love

第一章 転校初日

　斎森美世は、朝早くから新しい制服を着て、鏡の前でネクタイを調整していた。彼女の表情には緊張と期待が入り混じっている。母親の斎森香乃子が部屋に入り、「美世、頑張ってね。新しい学校でもきっと友達ができるわよ」と励ましの言葉をかける。

　美世は「はい、頑張ります！」と元気よく答えながら、家を出た。学校への道すがら、彼女は新しい環境にどんな出会いが待っているのかを想像してわくわくしていた。

　学校に到着すると、美世はすぐにクラスメートたちに囲まれた。彼らは彼女のことを知りたがっていた。美世は笑顔で自己紹介をした。「みなさん、こんにちは！斎森美世です。趣味は本を読むことです。よろしくお願いします。」

　その時、教室の扉が開き、一人の男の子が入ってきた。彼は皆に注目されるような堂々とした態度で、美世の隣に座った。「久堂清霞です。よろしく」と彼は簡潔に言った。

　清霞の冷静な雰囲気に、美世は少し驚いたが、彼に興味を持った。「清霞くん、ここに長くいるの？」と美世が尋ねると、清霞は「うん、幼い頃からね。君は転校生だよね？」と返した。

　二人の間にはすぐに会話が弾み始め、美世は新しい学校での一日が思っていたよりずっと楽しいものになるかもしれないと感じた。

　教室での最初の日が終わりに近づくと、美世は自分がこの学校で新しい友達を作り、楽しい学校生活を送ることができると確信しました。彼女は帰り道、ワクワクした気持ちを抑えきれずに笑顔がこぼれた。

　放課後、美世は図書室で静かに過ごすことにした。本棚を眺めていると、偶然にも清霞と再会した。彼は手にしていた本をテーブルに置き、美世に気づいて声をかけた。「美世、本が好きなんだね。僕もよくここに来るよ。」

　美世はにっこりと笑いながら答えた。「はい、本はいろいろな世界を見せてくれますから。清霞くんもどんな本が好きなの？」

　清霞は一瞬考え、穏やかに答えた。「歴史や戦略に関する本かな。軍人の家系だから、それが役に立つんだ。」その話を聞いて、美世は清霞がどれほど真面目であるかを理解した。

　二人は本について話を続け、美世は清霞の知識の深さに驚かされた。清霞も美世の話に興味を持ち、「君の見る世界をもっと知りたいな」と言った。この言葉に美世は心が温まり、二人の間に特別な絆が生まれつつあることを感じた。

　図書室での時間があっという間に過ぎ、美世は清霞と一緒に学校を出ることになった。「今日は楽しかったよ。また話そうね」と清霞が言い、美世はうれしさで頷いた。夕暮れ時の校門を出る二人の姿は、まるで古い友人のようだった。

　次の日、美世は早速学校での噂話に耳を傾けていた。休憩時間に、クラスメイトの何人かが集まって清霞の話をしているのを聞いた。一人の女の子が言った。「久堂清霞くん、かっこいいけど、ちょっと神秘的よね。軍人の息子だって聞いたけど、本当？」

　美世は興味津々で聞き入った。別の男の子が加わって、「うん、確かに。彼の家族は代々軍人で、国を守るためにいろいろなことをしているんだって。だから清霞くんもすごく強いらしいよ」と説明した。

　美世はその話に感心し、清霞がどれほど重要な家系の出身かがわかった。彼女は昨日の図書室での会話を思い出し、「清霞くんは本当に多才なんだな」と感じた。

　授業が始まる前に、清霞が教室に入ってきた。彼は周囲の注目を一身に集めながらも、どこか落ち着いていて、自分の周りの雰囲気に影響されない強さを持っていた。

　美世は清霞に近づき、「今日の授業、一緒に勉強しない？」と提案した。清霞は穏やかに笑って、「いいね、ありがとう」と応えた。二人が一緒にいる姿は、他の生徒から見ても自然で心地よいものだった。美世はこの新しい学校での生活が、想像以上に充実していくことを実感していた。

　数日が過ぎ、美世は学校生活にすっかり慣れていた。ある昼休み、彼女は校庭で清霞と一緒に過ごしていたとき、突然、クラスのいじめっ子グループが近づいてきた。リーダー格の男の子が清霞を見て、「おい、軍人の息子、ちょっと強がってないか？」と挑発してきた。

　清霞は冷静に対応しようとしたが、男の子たちはエスカレートし、周囲の生徒たちも注目し始めた。美世は心配になり、清霞の腕を掴んで「ここから離れよう」と提案した。しかし、清霞は動じずに立ち向かおうとした。

　その瞬間、美世が前に出て、「やめて！こういうのは良くないよ。みんな仲良くすればいいじゃない」と言い放った。その言葉にいじめっ子たちは一瞬戸惑い、校庭にいた他の生徒たちも美世の勇気に拍手を送った。

　清霞は美世の手を握り、「ありがとう、美世。君がいてくれて良かった」と感謝の言葉を述べた。この出来事がきっかけで、二人の友情はさらに深まり、学校中にその話が広がった。

　授業が再開されると、教師もこの件を知り、美世の行動を称えた。「美世さんのように勇気を持って正しいことをすることが、私たち社会にとって非常に大切です」と言葉を贈った。美世は恥ずかしそうに微笑みながらも、自分がしたことに誇りを持った。この一件が、彼女が学校で尊敬される存在になる一歩となった。