-War 4- 鳥か?飛行機か?いや狼だ Ⅰ

【Phase1:とある拠点の物資消失事件】


某日,True Eyes Mercenary Company拠点


TE隊員達には皆寮の一部屋が与えられている


その為基本的には休日…というより任務の無い日は自室で過ごしたり,もしくは元々所有してる家へと帰っている


突然の任務に備えそれすら許されていない隊員もいるのだが基本的に不自由がない為文句も出ていない


自室をとんでもない改造したりする奴もいるが…


TE拠点/寮内通路


突然扉が吹き飛んだ


それはもう突然だ


「カレンごるぁぁぁぁあ!!!てめぇ何回部屋で爆発起こすつもりだ!!!」


吹き飛んだのは爆発でお馴染み,カレンの部屋の扉である


「おかしいっすねぇ,朝ごはん作ってただけなのに…」


「食堂に行きゃいいだろうが!てめぇの爆発でこっちの部屋の壁にもヒビ入ってんだよ!!」


不幸にもそのカレンの隣の部屋はVである


普段は医務室で寝てたりするが寮の方で寝たりもするのである


「んー…うるさいわねぇ…もう少し寝かせてよ…」


反対側の部屋から出てきたのは美香だ


「てめぇも何裸で出歩いてんだ!部屋に帰りやがれ!」


「服…どこだっけ……」


「わっ……わぁっ……」


「アルは見るんじゃねぇ!」


カレンの爆発音はある意味朝の知らせでもある


続々と部屋から隊員達が出てきている


「ったくうるさいなぁ…少しは大人しくしろよなー」


「ほんとだよ,朝から廊下で怒鳴り声あげて…」


「殺されてぇのかてめぇ!!」


平和な朝などない


これが拠点の日常なのである


「で…何その赤いハンバーガー」


「名付けてカレンバーガー!あげないっすよ?」


「いらないよ…何が入ってるのかその色で分かる…」


カレンは辛い物が好きだ,髪色のせいだろうか


そして廊下に転がっているタバスコの瓶


そのハンバーガーが如何に人間の食べ物ではないかを物語っている


「まだ6時前じゃない…朝ごはんの用意してないわよ…?」


「美香よりマシだけど下半身全裸のシルヴィアさんは羞恥心持とうよ…」


「良い眺め…好きだ……ッ!」


「ほら,ニーアが盛りだしたじゃん」


羞恥心もなければ節操もない


これが大人だ


これが傭兵だ


これがTE隊員なのだ


「おいお前ら,早起きは結構だが廊下で騒ぐのはやめておけ,まだ寝てる奴もいるからな」


「……………」


全員唖然としている


そりゃそうだ


可愛らしいピンクのパジャマにキャップまで被った社長ルイスがいたのだから


「まだ寝ぼけてるのかな…」


「タチの悪ぃ悪夢だ…」


「寝直そう…」


そう,これはきっと何かの間違いだ


まだ皆夢の中にいるんだろう


各々が自室へと帰っていき廊下には誰もいなくなった


のだが…


「あーーーーーっ!!!!!!」


「うるせぇぇぇぇぇええ!!!!!」


ほらまた始まった


しかも扉は吹き飛んでカレンの声は廊下にダダ漏れだ


「誰じゃぁぁあ!!私のハンバーガー食べたの!しかもお酒まで無くなってるぅぅぅう!!」


「うるせぇ!!朝から酒飲んでんじゃねぇ!!!ぶっ殺すぞ!!!」


「だーかーらー!怒鳴り声あげるなよ!寝れないじゃん!!!」


1分もこいつらは静かに出来ないらしい


「私が作ったハンバーガー無いんすよぉ!誰っすか盗んだのは!?」


「宇宙人じゃないかい?ほら,あそこUFO飛んでるよ」


「…は?マジでなんか飛んでるんだけど……まぁいいや,盗んでもあんなもの食べる奴いないだろ」


あんな激物食べたら体に悪い


そりゃ誰も食べないだろう


だが現にカレンのハンバーガーが無くなったのは事実だ


「……ん?白い毛…つまり盗んだのは…白い髪の色してる誰かっす!!!そうとしか考えられない考えたくない!!!」


「カレンー?私あの玩具貸しっぱなしだっけ?」


「ちょっと誰!スコーン無いんだけど!朝のティータイムをスコーン無しで過ごせって訳!?」


「相変わらずうるさいねぇ,誰かアタシの工具持ってった?」


再び集まりだす隊員達


しかしおかしな話だ


皆何かしら無くしている


いや,本当に無くしているのか?


ここまで色々な物が無くなっているとなると誰かが意図的に隠す,もしくは盗んでいるのかもしれない


「さぁ今ならまだ許してやる!お前達5人の中に犯人はいるのは分かってるんすよ!」


「何やってるの…あれ…」


「空腹のカレンは歯止めが効かないからな…」


TE隊員で白髪


ルイス,ニーア,アル,カルネスヴィーラ,ソフィーの5人はカレンの目の前に正座させられていた


何故正座?と思うがそもそもカレンの言う通りに正座してる5人も5人である


「差し詰めカレン隊員の大切にしていたハンバーガーが盗まれました…ってところだね」


「何それ」


「知らないのかい?日本人が大晦日に見る番組にそういうのがあるんだ」


まさに傭兵の使いあらへんでの様な状況だ


「まずはアル!さっきまで何してたんすか!」


「…普通に一ノ瀬隊長と寝てましたけど…」


「咲夜!どう言う事!?私だってアルと寝たい!!」


「お前は手を出すからだめだ,それに私だって好きで寝かしつけてる訳じゃないんだから…」


「…まぁいいや,アルはいっていいっすよ,次カルネスヴィーラ!何してたんすか!」


「…………」


「カルネスヴィーラ?」


「Zzz………」


カルネスヴィーラは基本的に夜中まで起きて作業している


まだ眠いのだろう


「フンッ!!!」


「ちょっとカレン!?」


パァン!!と勢いよくカルネスヴィーラの顔面を棒の様な物で殴り飛ばすカレン


安心してください


シリコン製です


更に隊員は特殊な訓練を受けています


「次!ニーア!」


「シルヴィアのXXX見てました」


「フンッ!!!!」


まぁこればっかりは殴り飛ばされても仕方ない


「はぁ…馬鹿馬鹿しい…私だってスコーン無くなった被害s」


「おいカレン,いくらなんでm」


あぁ


ソフィーとルイスまで殴り飛ばされた


完全に暴走状態に入っている


怒り喰らうカレン討伐任務が貼られてしまった


「チェェェェエストォォォォォ!!!!」


「殺すっ!!!」


「…どうするのあれ」


「放っておけ,慣れる」


もはやそんな状況に反応も示さない隊員達


こんなのが日常とは世も末である


『あーあー,聞こえますか?凛です,ちょっとモニタールームまで来てもらえますか?』


隊員達へ無線が入る


どうやらモニタールームで監視をしていた凛が何かを見つけた様だ


「朝からどったんばったん大騒ぎだな…お前らいくぞ」


「このっ!このっ!!私を殴ってタダで済むと思わない事ね!」


「いだだだだだ!やめっ!?ソフィー!!」


「…あの2人は?」


「好きにやらせておけ,私の懐が温まるだけだ」


隊員の治療にも金を取るのかこのメディック


とは言え任務外での治療は毎度金を取っている


花粉症の時期には法外な値段で薬を売っぱらっている


医者とは一体…


TE拠点/モニタールーム


ここは静かだ


すぐに静かではなくなるのだが


「お疲れ様です先輩方…実は先程監視カメラに不審な影が写りまして…」


「侵入者か?」


「白狐さん…と思ったんですけど…とにかく見てください」


つい5分前の映像


拠点屋外


倉庫


寮の通路


隊員の自室


………ん?


「…なんで私らの自室の映像まであるんだ?」


「趣味です」


あぁ,やっぱりまともな奴がいないわこの傭兵組織


プライベートもないのかこの拠点


「……誰だこいつ?」


「白狐さん……ではないですよね,明らかに小さ過ぎます…子供の様ですね…」


「少なくとも隊員ではない…侵入者と断定していいだろう」


どうやらサファリパークよりも酷いやり取りをしている間に何者かがこの島へと侵入してきていたらしい


しかしどうやって?


近海にはサメがうようよといる


空から?


それならレーダーで気がつくはずだ


「はぁー……朝から疲れた」


「よぉソフィー,カレンは?」


「動かなくなった」


「そうか,そりゃよかった」


よかった???


まぁいい


どうやら向こうでは決着がついた模様


勝者ソフィー・イリーナ


後でチャンピオンベルトが贈呈されるだろう


「ほら,コーヒー」


「はぁ?そんな泥水私に飲めって?」


「上等だてめぇ今日を生きれると思うなよ」


第二戦のマッチングはV vs ソフィーの様だ


コーヒー党と紅茶党


どうやらここの隊員は事あるごとに争わなければ気が済まないらしい


「きのことたけのこどっち食べる?」


「荒川,これ以上戦争を起こそうとするな」


本当に戦争はいつ起こるか分からない


ちなみに隊員の中ではたけのこ派が多いだとか


じゃあ間をとってたけのこの山にしようと言った荒川は全治2週間の怪我を負ったのはいい思い出だ


いい思い出とはなんだろう


「…とにかく,拠点内に怪しい奴がいるのは確かだ,今日は全員でそいつの捜索だ」


「特徴は?」


「白髪,映像にも映っていた通り獣人だ,背丈は子供くらい,あとは情報がない」


「それってあそこにいる奴?」


「そうそう,あそこにいる奴………は?」


全員が視線を一気に向ける


間違いない


映像に映ってた奴だ


しかも今度はハンモックを担いでどこかに走っている


「あ"ーー!!私のハンモックが!」


「私のだよ!」


「荒川のでもエイミーのでもどっちでもいい!あいつを捕えろ!!」


「発砲許可は?」


「交戦する様なら許可する」


「それじゃ私は皆さんの士気が上がる様な曲でも流してますね」


途端に流れ出すBGM


何かのゲームだろうか


だが随分と激しいロック調の曲だ


「殺せ!生かして帰すな!」


「ひゃっはぁぁぁぁ!!」


「凛,曲を切っておけ,こいつらならやりかねない」


そんなこんなをしていると既に奴の姿はなくなっていた


ほんの一瞬なのに随分とすばしっこい


「あーもう速い奴…!」


「いたぞ!いたぞぉぉぉぉお!!!」


今度は屋外に置いてあるベンチを持って走っている


なんだあの速さは!?ってくらいにすばしっこい


「くそっ!見失いました!」


「なんなんだあいつは!?」


獣人でもあんなに速く動ける奴はいない


という事は必然的に導かれる答えは…


「あんな小さいのでも妖…各員戦闘体制,あんなのが島にいるんじゃ安心して夜しか眠れないからな,全員2人1組で行動しろ,随時連絡を入れてくれ」


「射殺許可は?」


「あー…可能な限り捕獲,どこから侵入してきたのか聞きたい事もあるしな,ただし交戦してくるのなら…」


「剥製にしてもいいですか?」


「…………」


やっぱりこいつらろくな連中ではない


「物を持ってどこかに走り去って行ったって事は必ず奴のアジトか何かがあるはずだ,だけど普段私らがあまり警戒していないような森の中や岩場とかを念入りに捜索してくれ」


「朝飯前っしょあんなの捕まえるの」


「まぁ軽く捕まえてあげるかな」


「そんな大した奴でもないだろうし終わったら朝ごはんね」


「私この捜索が終わったらもう一回寝るんだ…」


お手本のような死亡フラグを立てている


とはいえ本当に死亡フラグにならないことを祈るくらいだ


小さくても相手は妖


油断しようものなら全滅も有り得る


奴が何者で,どこからきたのか


その正体を突き止めなければならない

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