時空を超えて見知らぬ人をつなぐボトルレター―そのロマンと驚愕【コラム】
ミッキー大槻
第1話:水辺で偶然見つけたボトルメールは昨年亡くなった親友が小学生のころに流したものだった
瓶に入れて海や湖に流されるメッセージのことをボトルメール、ボトルレター、またはボトルメッセージと言う。日本語Webで調べると、英語ではa message in a bottleが正しいと書かれていたりするけれど、bottle letterやbotte mailでも通じる。
ボトルレターは、見知らぬ人同士をつなぎ、過去と未来をつなぐ。ロマンに満ちた―なおかつ確実性に欠けた通信手段である。
この一連のコラムでは、検索するとカクヨムでの出現頻度が最も高かったボトルメールを使用している。
★ ★ ★
2006年の初夏、米国ウィスコンシン州のホワイトレイクという湖でボトルメールが見つかった。海に流したボトルメールでさえ実際には、大洋を渡ることは稀にしかない。たった数日で、ごくごく近くの岸辺に打ち上げられることが多いという。ましてや潮流のない湖に流したボトルメールである。最近、誰かが流したものであってもおかしくない。だが、これは発見者にとって驚愕のボトルメールだった。
その日、スティーブ・リーダーさんという男性が湖畔で仲間たちと談笑していたところ、岸辺にボトルが打ち上げられているのが目に入った。なぜか気になり、ボトルを拾い上げてみた。
「中に手紙が入っているぞ」
リーダーさんたちはボトルを割って中の手紙を取り出した。手紙には、こうしたためてあった。
「僕の名前はジョシュ・ベイカー。10歳。このボトルメールを見つけたら、ニュースで取り上げてもらってください」
普通、湖でボトルメールが見つかったくらいではニュースにならないだろう。だが、発見者のリーダーさんは、ジョシュ・ベイカーという名前、10歳という年齢、そして「95年4月16日」という日付を見て、胸が張り裂けそうになった。
そのボトルメールの送り主は、リーダーさんの今は亡き親友だった。亡くなったのは2005年のこと。海兵隊員として中東に派兵されていたが、無事任務を終え、帰還して間もないときにカリフォルニア州で交通事故に遭い帰らぬ人となった。
リーダーさんはボトルメールをベイカーさんの母親に届けた。母親は、その手紙を家の中に飾っておこうと考えている。ボトルメールは、1995年、小学校の課題で湖に流したものだった。
ボトルは、とうの昔から水辺に打ち上げられていて、拾われる日が来るのを待っていたのかもしれない。「見つけたら、ニュースで取り上げてもらってください」というベイカーさんの願いは、1995年から2006年までの11年の歳月、そして自らの生涯の終わりを超えて、確かにかなえられた。しかも親友の手によって。
■ Source: Message in a Bottle Found 10 Years Later
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます