第六話『裁く村長』

\ガラガラッ!/

(玄関の引き戸が開く音)


犬「老いふざけんな爺! 婆!」

雉「殺人団子をばら撒きやがって!」

猿「……(亡骸につき沈黙)」

桃「親だと思ってたのに! めたな!」


 二匹と一体と一人は、爺さん、婆さん宅に強襲した。


「くっ、バレたか……」

「村を恐怖におとしいれて、乗っ取ろうとしたんやがな……逃げるぞ、爺さん!」


 爺さんと婆さんは、屋内から、恐竜の足跡のような形の葉をつける草のしげる庭に出て、逃走を試みるが……


 ジリジリと迫っていく、二匹と一体と一人。


 が! そこに!


 どこからともなく、やけに図体のでかい金髪の男が、ドシドシと、歩いてきた。


 彼は……



 前村長梅田ばいでんジョーに代わって、村長に就任した、怒鳴堂花札どなるどうはなふだである。



「えー、私は、村長選挙の時に、このような公約を掲げておりました。『あかんもんを、あかんもんと知っておきながら、いいもんとして広めて、人々の健康、ひいては命を奪う者は、それ相応の刑に処す』とね」


 場は、彼の圧倒的な気迫オーラによって、静まり返っている。


「よって……爺と婆、有罪! 有留果糖螺図あるかとらず行きッ! あ、〈デビルズ・アイランド〉で資金洗浄マネロン、あと子供いじめてた梅田も、一緒にブチ込むよ?」


 怒鳴堂花札どなるどうはなふだ村長は、爺さんと婆さんを、麻導薬草まどうやくそう『コロシタイベ』を、そのとてつもないリスクを知っておきながら団子に練り込んで、村人たちに食わせたとして、この世で最も恐ろしい刑に処した。


   〈了。が、付録おまけに続く〉

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