巻き戻さないで、牧本さん〜学校一のハーフ美少女が実は超絶ドジっ子だということを俺だけが知っている〜

耳折

第1話

「おはよう、今日凄く寒いね」


 師走の朝。

 そんな他愛もない会話を教室でするだけで周囲がざわつく。


 牧本雫まきもとしずく

 

 ロシアのクォーターらしい細く透き通るような白い肌と銀色の髪と瞳。

 成績は全科目全国100位以内。

 容姿端麗、品行方正。

 そして天才。


 学園、いや同世代でも右に出る者はいないと名高い美少女。


 まさに完璧、それを体現したかの様な……


「おはよう、藤君」


 ……噛んだな。


 俺の苗字って呼びやすい方だと思うんだけどなぁ。


「うぅ……!!」


 白い肌は頬の羞恥の赤をより際立たせる。


 あ、やば。

 

 そして、




◇ ◇ ◇



「おはよう、今日凄く寒いね」


 師走の朝。

 そんな他愛もない会話を教室でするだけで周囲がざわつく……じゃなくて。


 んだが。


「おはよう、内藤君」


「……おう、おはよう」


 容姿端麗、品行方正。

 それは仮の姿だと誰も知らない。

 ……俺以外は。

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