それは煌めく星のように

薄紅 サクラ

前編




 小さい頃から好きなことにはとにかく熱中するタイプだったと思う。

 それは絵本しかりごっこ遊びしかり、大きくなってからはアニメしかり漫画しかりゲームしかり小説しかり―――種類は多くあれど好きなこと、趣味には心動かされご飯や勉強よりもそちらに没頭してしまうことが多かった。

 そのせいで何度親や学校の先生に怒られ、勉強の成績が危うかったことか。


 そうなったのは小さい頃にあった同級生からのいじめなどがそういったことを増長させるきっかけにもなったのだけれど。

 それでも漫画の世界、ゲームの世界、アニメの世界、そして物語の世界は―――私にとっての心癒される場所であり、一種の逃げ道でもあった。ここに浸れるならば勉強も仕事も頑張れる、そういう活力の源にもなっていたのだ。




 ただ。

 周りにいる一般女性とは違い、私はアイドルなどのかっこいい男性というものに一切の興味がなかった。

 もちろん気になっているアイドルの曲は聴くけれど、アイドル自身を好きになる……というより推しにする、といったことがなかった。なんというか、現実のキラキラしたものより理想を体現したような男性キャラクタのほうがかっこいいと思っていたし、そのキャラクタを知っていくうちに大好きになって推しになることが多かったから。

 だからか同年代の女の子のなかでは、アイドルに対してわりと冷めた感情を向けていたかもしれない。


 理由としてはまぁ………ここでも幼少期のいじめやら二次元のキャラクタに心酔やらなのであまり深い理由わけはないのだが。




 だもんで、私はアイドルそのものに興味はほとんどなかったのだ。好きになる、追いかけたくなる気持ちはわからないでもないけれど、推し活にまでするほどのものではなかったのである。

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