泡姫
縞間かおる
前編 1 取り残された島
僕の住んでる小さな小さなこの島にも夏休みには本土から人がやって来る。
元々、旅館やホテルなどは無いから、観光客は皆、民宿に泊まる。
「どの家がいつから民宿を始めるのか?」
その順番を決めるのも全て“大木様“だ。
大木様は代々この島の村長で……この島を人が住めるように開拓(この言葉、最近、学校で習った!)したのも大木様のご先祖様だ。
大木様のところの“一人息子”の勇太さんは中1で『勝男』さんと『隆』さんと言う同い年の二人の舎弟がいらっしゃって……僕ら島の子供(男)は大抵、この二人のどちらかの舎弟だ。
僕も勝男さんの舎弟で……本土から観光で来た子供たちにカブトムシを捕らせたり堤防からの五目釣りをやらせて、勇太さんからおこづかいを支給してもらっている。
でもそれもお盆までで……『せりあがり祭』の頃には観光客はすっかり引けて、島民しかいない。
その『せりあがり祭』だけど……始まる1週間前くらいから祭りの1週間後くらいまで、大人たちはなんだか異様なふんいきで、僕たち子供は外へ出してもらえなかった。
なんでも、祭りの最中に……たまに行方不明になってしまう人がいて……『たたり』を食らってしまったという話が大まじめに広まっている。
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